約 30,447 件
https://w.atwiki.jp/izakayakime/pages/161.html
居酒屋3309店舗 80安価SS 『なるほどなー邪魔なヤツは占うのももったいないから即吊るすべきかと思ってたわやってない勢はセオリー知らなくて困る 』 東風谷早苗が爆発した。 前後の状況はともかくとして、彼女は唐突に盛大に爆発したのだ。 袖とか色々ボロボロである。 「……何やってんだ、お前?」 そこに降りてきたのは霧雨魔理沙。 通りすがりのようだ。 突然の爆発に、少々彼女は驚いている。 「げふ」 咳き込みながら立ち上がる早苗。 大して怪我とかはしてないようだ。 埃を払い、彼女は首をふるふる振った。 「おほん」 それから咳払いを一つ。 早苗は話し始めた。 「実はですね、これには訳がありまして」 「無かったら驚くぜ」 早苗は滔々と喋る。 「ええ、実は私は最近、弾幕ごっこに凝っておりまして」 「うむ」 「勝負の駆け引きを熱くする為、色々工夫してるんです」 「はあ」 「まあ、つまり今回の原因に限って言いますと、おみくじ爆弾です」 「産廃ボムか」 「貴方の技と一緒にしないでください。私は真剣なのです」 「いや、まあ分かった。要するにお前、自爆したんだな?」 早苗は頷く。 「……ええ。弾幕ごっこ用に持っていた爆弾が誤爆しました」 「馬鹿だな、お前」 魔理沙は呆れた顔をした。 「い、いや、でもおかしいのです!」 「え」 早苗が首を振り、魔理沙に詰め寄る。 「これは勝手に爆発するような代物ではない筈だったのです。投げる前から爆発したりはしない物なのです」 「はあ」 「これはアレですよ、魔理沙さん!」 「はあ?」 「異変です!どうせ妖怪の仕業に決まっています」 魔理沙は欠伸をした。 それから回れ右して、去ろうとした。 が、早苗に襟首をつかまれた。 「おい、何をする」 「一緒に解決しましょう、この異変を」 「えー?」 ずるずるずる。 魔理沙は引きずられていった。 「……で?」 所かわって、ここは香霖堂。 店主の森近霖之助がそう口を開いた。 「つまりですね、店主さん。異変の犯人をぱぱっと発見する道具を貸していただきたいのです」 早苗は単刀直入である。 後ろにいる魔理沙は肩をすくめている。 「異変の原因なんてのは、毎度、何となく見つかる物ではないのかい?勘とかで」 霖之助はそう言うのだが、 「いえ、私は新参者ですから。あらゆる手を尽くさなければならないのです」 「はあ」 「とにかく、貸してください」 「いや、でもねえ」 「お金はちゃんと払いますから」 早苗の言葉に、霖之助は少々驚いたようだ。 「…ほう、君は意外に常識人だね」 「不本意ながら、いまだ常識人です」 「よし、貸そう。これだ」 霖之助が取り出したのは水晶玉。 「占いに使えるらしい。ずいぶん前にこちらに来た代物だが」 「ふむ、よし。それを借ります」 「はい、まいど」 早苗は一礼し、魔理沙を引き摺ってどこかへ去っていった。 「うむ」 早苗はまず、空に飛び上がった。 片手に水晶玉を持ち、片手に魔理沙の袖を掴んでいる。「別に逃げやしないぜ?」と魔理沙は言っているが、早苗は聞き入れる様子がない。 早苗は水晶玉を覗き込む。 店主の話によればこれはただの水晶玉ではなく、これを通して何かを見ると、何らかの予兆とか、隠れた真実を看破できる代物らしい。 そう言われれば、これを通して見た景色は何となく神秘的だ。気のせいかもしれない。 「あら」 早苗が声を上げた。 見知った顔がちょうど通りすがったのだ。 「小傘さん、でしたっけ」 「ありゃ?いつぞやの巫女、と魔女」 振り向いたそいつは多々良小傘。 早苗とも魔理沙とも面識がある。 「ん、どうした早苗」 魔理沙が早苗の様子がおかしいのを感じ取り、振り向く。 早苗は水晶を通して小傘を見ている。 なんかにやりと笑っている。 「むむ、なんかおかしい!気がします!この水晶が、そう言っています」 「はあ」 「?」 小傘が首をかしげる。 早苗は躊躇無く、彼女に向けてぶん投げた。おみくじ爆弾を。 「ぐぼぇ」 唐突に理不尽に爆発させられた小傘。 吹き飛んでどこかへ行ってしまった。 「……うわぁ」 魔理沙は眉をひそめている。 今の早苗の行動には、ルールも何もあったものではない。非常識だ。 「ふむ。今のが犯人だったようですね」 「話も聞かずに何を言ってるんだ、お前」 「水晶による占いの結果です。それに、妖怪は人間にとって邪魔な存在ですよね?なら問題ないはず」 「……それ、普通に間違ってるからな」 「え、そうなのですか?」 魔理沙は腰に手を当てる。 「まず、だ。幻想郷における妖怪退治には一種の美学がある」 「えっ」 「まずは相手ときちんと会話すること。それと、お互い楽しむこと」 「お互い、楽しむ?」 「そう、人間と、妖怪が、お互いに楽しむ。それが異変であり、スペルカード戦だ。常識だぜ?」 「なるほどー」 「さっきのは、ちと反省すべきだな、早苗。大体その水晶、効果あったのか?」 「いや、正直分かりません」 「ふむ。そもそも効果の無いマジックアイテムなのかもしれないが…お前、それを使いこなす気もなかったんじゃないか?」 「……ええ。実のところ、さっさと妖怪退治をしたくて、たまらなかったので」 早苗は肩をすくめた。 要するに、さっきの水晶占いもどきは、ただのジェスチャーだったというのである。 魔理沙はため息をついた。 「それはいけないぜ」 「なるほど…いや、邪魔な妖怪は占うのも勿体ないと思ってしまって」 「はあ」 「即吊るし上げにすべきかと思っていました」 「……非常識な」 「ええ、…普段から妖怪退治をやってない私はセオリーを知らなくて困ります」 「まったくだな。まあ、次から気をつけることだな」 「はい」 しばらく後。 早苗は魔理沙の家に招かれた。 「せっかくだから茶でも飲んでいけ」と、誘われたのである。 「お邪魔します…おお、雑然としてますね」 「一言多いぜ。ま、適当に座っててくれ」 魔理沙が部屋の奥に入っていった。 早苗は一人、ソファに座りこむ。 なんとはなしに、持っていた水晶玉を覗き込んだ。 「ん?」 曇っている。 さっきまで曇っている様子なんてなかったのに。 「…これは…!?」 この占い用っぽい水晶を通して見ると、隠れた真実を看破できるという。 この、明らかに禍々しい雰囲気! 「これが異変の源!?」 早苗は叫び、立ち上がった。 水晶玉を通して、曇っている部分を見つめる。 「え」 鏡越しの自分だった。 霧雨邸にある、姿見。 そこに移る自分の姿が、禍々しく曇っているのだった。 「え」 異変の原因は早苗にあった。 いや、正確には早苗の持ち物なのだった。 彼女は、外の世界から去る時、記念がてらに色々と買い物をしていたのだ。 特に便利そうな物を見繕い、外の世界のコンビニで買い物をし、それを幻想郷に持ち込んでいたのだ。 その一つがライターであった。 百円ライター。 幻想郷には無い物で、便利。 それをたくさん買い込んで、神社に保存してある。 もうかれこれ一年以上になろうか。 長い間、放置しておいたものである。 そのうちの一つを取り出し、早苗は携帯していたのだが…。 長い間放置されていた物には意思が宿る。 付喪神というやつである。 ぞんざいに扱われる宿命の百円ライター、それがずっと埃をかぶるまま放置されて。 それが軽く意思を持ったとしたら。 軽い恨みを…そう、「ちょっと悪戯したいなー」という程度の恨みを持っていたとしたら。 「あ」 早苗は、何となく理解した。 袂に入れていた百円ライターが、いや、ライターの付喪神が、「いまだ!」と言わんばかりに飛び出していって、 それから、 魔理沙の部屋の一角を占める産廃の山に突っ込んでいった。 その日、幻想郷で何度目か分からない大爆発が起こり、霧雨邸の屋根とか壁とか早苗とかが派手に吹っ飛んでいくのが各地で目撃されたという。 おわれ
https://w.atwiki.jp/jinroutouhourp/pages/97.html
東方projectの主人公。「普通の魔法使い」。白黒二色のいかにも魔法使い。かわいい。 キャラクターアイコンあり。 やはり霊夢と同様に最初期から登場している。主人公の風格である。 にも関わらず、界隈的にも割と雑な扱いをされている事が多い。金髪の子かわいそうです。 語尾が特徴的(~だぜ)なので、比較的RPをやりやすい部類。困ったらパワー推ししとけ。 色々なキャラと原作で関わっているが故に、村での立ち回りもしやすい部類。 アリスやパチュリーに絡んでいると、観戦兄貴達が盛り上がってくれます。 占魔理沙、霊アリスとかそのライン盲信した! やはり彼女もまた主役。パワーで敵を追いつめて欲しいものである。 4森近霖之助 今日はAYA吊り 魔理沙狐だったら、僕の目が狂っていたと言うことになる・・・ 11霧雨魔理沙 まぁ村打ちしてくれてるってことだし最大級にいいことだよな 【118408】12B東方RP推奨(非強制)村より 狐生存もありえる偶数最終日。ここまでの信頼がものをいう。「村打ちはパワーだぜ!」
https://w.atwiki.jp/touhouss/pages/108.html
森近霖之助の店には、最近一人の魔法使いがやってくるようになった。 魔理沙とは無論別人の、いわゆる『外の人』である。 それも、彼の店に流れつく商品の出所とはまた別の『外』から来ているようだ。 最初は、霧の深い夜、道に迷ってたどりついたのだと言っていた彼女だが、 どうやらここへ来るコツをつかんだらしく、ちょくちょく訪れるようになった。 まあ、話題といえば互いの情報交換と愚痴の言い合いなのだが。 「……うらやましいですねえ、あなたのお店が」 彼の呟きに、彼女が首を傾げる。 「商品を勝手に持っていくような人はいないじゃないですか」 彼女は苦笑する。要らないものを買い取れ、って言われないだけ、 リンノスケさんのお店の方がいいじゃないですか、と。 「まあ、どっちもどっちですねえ……」 『あらゆる道具の名前や用途が分かる』という共通点を持った二人は、 今日ものんびりとお茶を飲み交わしている。 お茶菓子は、彼女が持ってきたほんのりカビフレーバーの団子だ。 だんじょん商店会~伝説の剣はじめました~からサララが遊びに来ているようです。
https://w.atwiki.jp/tohofight/pages/2037.html
映「本日の東方ファイト、今回はこの二人にクッキーを作っていただきます」 妹「あ? つーかお前誰だ。顔がぼやけて見えねえぞ」 映「映姫です」 妹「閻魔ァ? こんなとこに何の用だよ」 映「東方ファイトのジャッジです。というより今日は荒れてますね」 妹「あのバ輝夜に薬盛られてから目が見えねえんだよ。 目見えねえとイライラしてしょうがねえ」 映「……そうですか。森近さん眼鏡貸してあげたら如何です?」 霖「残念だけど、僕は眼鏡壊しちゃってね。今人形を操るほうの魔法使いに 修理を頼んでいるんだ。今は外の世界の『コンタクトレンズ』とやらを使ってる」 」 映「それは残念ですね。……さて、そろそろ競技を始めましょう。」 妹「クッキーは……何入れればいいんだっけか。小麦粉にバター……砂糖と…… ああ、もう! どれが砂糖か分からねえ!」 近視にいらつく妹紅は砂糖と間違い、小麦粉をまた入れてしまった。 妹「あとは練って焼くだけか。……どうやって焼こう」 2分くらい考え…… 妹「誰かいるなら避けろよ……。蓬莱「凱風快晴 ‐フジヤマヴォルケイノ‐」!」 ドッガーン!!! ギャラリー「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 永「おおう、姫様の髪がヴォルケイノ……」 輝「ちょ、助けてえーりん! 髪が燃えてるわぁーーー!!!」 妹「外野が騒がしいな。さてと、クッキーは……あれ、どこだ?」 霖「さて、どうしようかね。クッキーなんて作ったことないから……おっとレシピはあったか」 レシピに書いてある通り、無難に進めていく霖之助 。 慣れないコンタクトのためか、時折目の休憩を挟んでいる。 霖「次は……オーブンで焼くみたいだ。だから店からオーブンを持ってこさせたのか。 けど、どうすればこれは動くのか」 考えること数分。 霖「機械だから……動力か? ならば……おーい、魔理沙」 魔「な、なんだよッ!」 霖「こいつを君の力で何とか動かせないか?」 魔「あ、ああ……これか? ごめん、私には…… けど、にとりなら、何とかしてくれそうだ。ちょっと取り次いでくる……」 霖「助かるよ。僕はあまり河童と面識がないもんでね」 魔「こ、これくらい朝飯前だぜ……」 映「さて、そろそろ出来上がった頃でしょうかね……」 妹「……」 映「妹紅さん、貴方はいったい何を……」 妹「見てわからないのか。クッキーを探しているんだ」 映「クッキーは探すものではありません」 妹「ぶっ飛んじまったんだ。あの富士山の頂にいた私のように……」 映「何言ってるのかさっぱりわかりませんが、森近さんはどうでしょうか」 霖「僕のほうは完成したよ」 映「ほう……なかなか美味しそうな。しかし、星型とは珍しいですね」 霖「ちょっとお世話になった子がいてね。(プスッ)その子にちょ・・・っと……」 映「ちょ、森近さんッ!! 誰です!?」 幽「誰です、と聞かれたら」 ル「答えてあげるが世の情け」 幽「世界のグルメを守るため」 ル「世界の飢餓を防ぐため」 幽「グルメ大会を隠す悪を貫く」 ル「ラブリーチャーミーな捕食役!」 幽「ユユコ!」 ル「ルーミア!」 幽「幻想を喰らうグルメ団には」 ル「ホワイトホール、白い明日が待っている!」 燐「にゃーん」 映「グルメ団!」 幽「というわけでこれはもらっていくわ!」 ル「もらっていくのかー」 燐「にゃーん」 映「あ、こら待てー!!」 一応完成した霖之助の勝ち。
https://w.atwiki.jp/dekinai108/pages/2.html
メニュー トップページ システム 行動指定 話題 記事 好感度表 舞台 イベント履歴 絵本描きの提案 投票所 登場人物 主人公 できない夫 カルマエンド 英雄 新大岩戸高校 +... 生徒会長 光津真澄 新聞部 部員 あきつ丸 デュフォー ルドガー 読子 秦こころ こなた 入速出凛 顧問 鵺野鳴介 学外 +... 日高家 日高良司 日高燕花 秋山家 秋山小兵衛 タカオ タオ 白井黒子 嘉村レイリ 古手梨花 協会 蟇郡苛 班目晴信 高嶺筋 葛西善二郎 森近霖之助 神条紫杏 大江和那 藤木戸 風巻豹 神座教団 神座伊鶴 アケス ハルト 金木 紫 ショゴス教(S教) 喪黒福造 ホァン 派即出できる夫 桐敷沙子 警察 光津エル クロニクル編集部 佐山・御言 野原ひろし 芹沢大助 木原数多 ノイマン 怪異 +... ワンコ先生 トワコ カガミ 『アケス』 まるゆ 大怪異 オリコ ハツネ 過去遭遇怪異database ヒダル神 鬼人・劣 壱子 ムラマサ 紅蓮 九頭竜 ロールシャッハ 匣の中 +... ベルンカステル 絵本描き 根の国 +... 荒魂 白兎 怨嗟 Archetype_Image Thanatos_Image 取得中です。 ここを編集 総合来場者数 - 本日の来場者数 -
https://w.atwiki.jp/gon113sn/pages/12.html
参加メンバー一覧 ※このページは誰でも編集出来ます 編集したい方は画面左上の『編集』から『このページを編集』で編集画面に入って下さい(PCのみ) ※スカイプ説明 ○…オールOK 喋りもいけます △…導入済み 喋りは時間帯等によりけり ×…未導入 名前 使用アイコン 主な参加曜日 主な参加時間 あだ名 スカイプ メッセージ G ルイージ・お肉マスク いつでも 夜~早朝 アニキ・兄貴 △ 名ばかり管理人ここに参上 16子 ナースさん 連休前夜 深夜~早朝 いろこ △ 眼鏡最強説 紫PC KAITO 不定期 夜~深夜 ゆかりん △ 宝くじ当たらないかな DKT 初音ミク 不定期 不定期 みっきー △ 亜美ちゃん可愛いよ、亜美ちゃん イノ 森近霖之助 いつでも 神出鬼没 変態・変態の △ うへへwぱんつ何色はいてんの? MMM Rockman 人がいないとき 人がいないとき みどりん・3M ー JIJYUU青のりモードへ移行中 オレンジ 白石みのる ー ー ー ー ー 赤 ー ー ー ー ー ー 白 ー ー ー ー ー ー ゆう 天海春香 不定期 深夜 募集中 △ 新参ですがよろー
https://w.atwiki.jp/touhourowa/pages/119.html
時系列順に見たい人はコチラ 51~100 NO. タイトル 作者 位置 登場人物 51 十年物の光マグロ ◆27ZYfcW1SM F-5 霧雨魔理沙、八雲藍 52 二択 ◆1gAmKH/ggU F-4 洩矢諏訪子、蓬莱山輝夜 53 死より得るもの/Necrologia ◆gcfw5mBdTg B-4 藤原妹紅、比那名居天子 54 各々の正義、各々の守るもの(前編)各々の正義、各々の守るもの(後編) ◆MajJuRU0cM E-6,E-5,F-5 伊吹萃香、河城にとり、フランドール・スカーレット、八意永琳 55 烏輪の国の眠れない夢 ◆ZnsDLFmGsk E-1 霊烏路空、チルノ 56 第一回放送 ◆Ok1sMSayUQ E-2 ZUN 57 巧詐不如拙誠 ◆Sftv3gSRvM D-3 鈴仙・優曇華院・イナバ、秋穣子、博麗霊夢 58 光り輝く探知機のトラウマ ◆30RBj585Is C-3 火焔猫燐、犬走椛 59 覚めない魔女の夢 ◆Ok1sMSayUQ F-5 フランドール・スカーレット、霧雨魔理沙、八雲藍 60 ロールプレイングゲーム ◆Sftv3gSRvM E-4,G-4 蓬莱山輝夜、洩矢諏訪子、八意永琳 61 血の色は/地の色は/赤色/黄色 ◆Ok1sMSayUQ D-3 博麗霊夢 62 Gefrorne Tranen ◆CxB4Q1Bk8I C-5 レティ・ホワイトロック 63 モノクロの太陽信仰(前編)モノクロの太陽信仰(後編) ◆ZnsDLFmGsk C-2 レミリア・スカーレット、キスメ、四季映姫・ヤマザナドゥ、リリカ・プリズムリバー、八坂神奈子 64 信仰の報償/Reward the Faithful ◆gcfw5mBdTg F-4 古明地さとり、東風谷早苗 65 cool,cool,cool ◆1gAmKH/ggU G-3 上白沢慧音、因幡てゐ、小野塚小町 66 ⑨ ◆30RBj585Is D-1 霊烏路空、チルノ 67 グランギニョル座の怪人 ◆Sftv3gSRvM D-4 アリス・マーガトロイド、古明地こいし 68 108式ナイトバード ◆27ZYfcW1SM F-3,F-4 西行寺幽々子、魂魄妖夢、紅美鈴、秋静葉、ルーミア 69 Border of life ◆Ok1sMSayUQ B-7 森近霖之助、八雲紫 70 Bitter Poison ◆Sftv3gSRvM D-7 メディスン・メランコリー 71 屍鬼 ◆Ok1sMSayUQ C-2 四季映姫・ヤマザナドゥ、レミリア・スカーレット 72 鳳凰卵の孵化 ◆30RBj585Is C-4 藤原妹紅、射命丸文 73 沈まぬ3つの太陽/いつか帰るところ ◆CxB4Q1Bk8I B-3 十六夜咲夜、リリカ・プリズムリバー 74 上を向いて歩こう ◆Sftv3gSRvM D-5 伊吹萃香、河城にとり、レティ・ホワイトロック 75 灰色に交わる道の先で ◆ZnsDLFmGsk D-4 藤原妹紅、博麗霊夢 76 GSK 最高経営責任者 (2009) ◆27ZYfcW1SM D-7 森近霖之助、八雲紫 77 ふたりはいっしょ ◆1gAmKH/ggU D-7 メディスン・メランコリー 78 黒猫の行方 ◆BmrsvDTOHo C-3 比那名居天子、火焔猫燐 79 殉教者の理由/Martyr s Cause ◆gcfw5mBdTg D-4 鈴仙・優曇華院・イナバ、蓬莱山輝夜 80 So why? ◆Ok1sMSayUQ F-4 紅美鈴、秋静葉、ルーミア 81 少女の森 ◆27ZYfcW1SM F-4 小野塚小町、上白沢慧音、古明地さとり、東風谷早苗、因幡てゐ 82 人形遣いのフィロソフィ ◆30RBj585Is D-3 アリス・マーガトロイド、古明地こいし 83 ゆめのすこしあと ◆Ok1sMSayUQ E-6 霊烏路空、チルノ、メディスン・メランコリー 84 うたかたのゆめ(前編)うたかたのゆめ(中編)うたかたのゆめ(後編) ◆Sftv3gSRvM F-4 フランドール・スカーレット、霧雨魔理沙、八雲藍、西行寺幽々子、魂魄妖夢 85 無々色の竹 ◆gcfw5mBdTg F-7 森近霖之助、八雲紫 86 悪石島の日食(前編)悪石島の日食(後編) ◆30RBj585Is D-4 蓬莱山輝夜、河城にとり、レティ・ホワイトロック、伊吹萃香 87 Interview with the Vampire ◆27ZYfcW1SM D-2 レミリア・スカーレット 88 文々。事件簿‐残酷な天子のテーゼ‐ ◆Sftv3gSRvM C-3 比那名居天子、射命丸文 89 朱に交わる/切れた糸(前編)朱に交わる/切れた糸(後編) ◆Ok1sMSayUQ D-4 アリス・マーガトロイド、藤原妹紅、博麗霊夢、古明地こいし 90 亡き少女の為のセプテット ◆Sftv3gSRvM E-4 鈴仙・優曇華院・イナバ、紅美鈴、秋静葉 91 早朝より始まりし愚かな選択 ◆30RBj585Is G-4 八意永琳、洩矢諏訪子 92 Gray Roller -我らは人狼なりや?-(前編)Gray Roller -我らは人狼なりや?-(後編) ◆ZnsDLFmGsk F-4,G-4 因幡てゐ、上白沢慧音、古明地さとり、東風谷早苗、ルーミア 93 【涙が頬をぬらす時-Is It Hurting You?-】 ◆BmrsvDTOHo C-2,C-3 リリカ・プリズムリバー、十六夜咲夜 94 精神の願望/Mind s Desire(前編)精神の願望/Mind s Desire(後編) ◆gcfw5mBdTg D-4 フランドール・スカーレット、霧雨魔理沙、八雲藍、博麗霊夢 95 エスケープ・フロム・SDM ◆27ZYfcW1SM C-2 射命丸文 96 ブラクトンへの伝言 ◆CxB4Q1Bk8I C-3 比那名居天子、四季映姫・ヤマザナドゥ 97 哀之極 ◆BmrsvDTOHo E-3 古明地こいし 98 寝・逃・げでリセット! ~ 2nd reincarnation ◆30RBj585Is F-4 西行寺幽々子 99 夢よりも儚い砕月 ◆ZnsDLFmGsk C-2 火焔猫燐 100 強く儚い、貴女達。 ◆m0F7F6ynuE G-4 八意永琳、洩矢諏訪子
https://w.atwiki.jp/cookie_kaisetu/pages/1379.html
[部分編集] 概要 正式名称は『【東方ボイスドラマ】幻想郷ドキ☆ドキ学園ライフ!【手書き】』(2019年4月20日)。 企画者はレミ。 東方ボイスドラマとしては珍しい現代パロディ。 [部分編集] +登場人物 担任 英語教師 森近:ぱぴこ 理科教師 運松:トイ吉 理科教師 易者:ナット魔 体育教師 魔理沙の父:蜘蛛馬陸 数学教師 ホフゴブリン:マヨツナ 古典教師 うわばみ:是路出居 歴史教師 紫:くりーふ 生徒 早苗:みちゃ 菫子:粗茶 文 :雪矢りゅう ルーミア:ぬべ子 チルノ:高橋さと フラン:弥蘭 +関係者 さくな☆(メイン作画担当) +大まかなストーリー 幻想郷に学校ができることを知った霖之助は、生徒からモテるため教師になることにする。 [部分編集] CTV☆での扱い ボイスドラマとしての面白みに欠けるため評判は悪い。 しかし「面白くはないがそれほど苦行でもない」という微妙な評価から平均的なボイスドラマと見なされ、未知のボイドラを実況する際に「ドキ学よりおもしろい」「ドキ学よりつまらない」と本作を基準にして評価が下されることもあった。
https://w.atwiki.jp/shinatuki/pages/431.html
ディスクブレイカー☆フラン『作戦会議』 寺子屋での授業が終わると、フランはチルノとナランチャを呼んだ。 「フラン、話ってなんだ?」 机に座るナランチャが口を開く。 「二人を呼んだのは……他でもない。春を一番に手に入れるためよ」 机に肘をつき、手を目の前で組むフラン。 彼女の言葉に、二人は首をかしげた。 「春を一番に手に入れるって……どういうことだよ」 ナランチャは、話がいまいち理解できない。 チルノは少し黙り込んでから…… 「ああ! リリーちゃんの事ね!」 納得したかのように手を叩いた。 「リリーちゃんって、誰?」 話がいまいち掴めていないナランチャは、頭上に疑問符を浮かべる。 「えっとねー。春になるとやってくる妖精。この季節になるとみんなリリーちゃんを呼ぼうとするんだ」 「へー。何のために?」 「みんな花見がしたいからよ」 「花見かぁ……でもそれって花が咲いてから行ってもいいんじゃないか?」 「それもそうよね……」 チルノとナランチャが勝手に納得しようとしたところで、フランは机を叩いた。 「甘い。甘い甘い甘い甘すぎるわ。二人とも糖尿に気を付けなさい」 「どういうことだよ、フラン」 机の音に驚いたナランチャは、立ち上がってフランを見る。 「花見をなめないことね……花見……それは強烈な場所取り合戦や弁当の用意、かくし芸の披露諸々が複雑に絡み合って出来上がる芸術ッ!」 フランも立ち上がり、熱弁を始める。 「花見の中でも一番過酷とされる要素……それは場所取りよ」 「場所取り……」 「如何に素晴らしいアングルで花を見て、なおかつ自分たちが騒ぐだけのスペースを確保すること……それが場所取り……時として場所取りは戦争となりえるッ!」 フランの熱弁に、二人は開いた口が塞がらなくなった。 「毎年繰り広げられる戦争に疲れた先人たちは、一つの考えにたどり着いたわ。『場所を取るくらいなら作ればいい』と。先人たちは、庭に桜の気を植えたわ。そうすると、何が始まったわかる?」 フランの質問に、二人は答えることができなかった。 「次に巻き起こったのは、桜をいかに早く咲かせ、花見を楽しむかの戦いよ。ある者は灰を使い、ある者は魔術を使ったわ。しかし、それなんかよりも確実に、なおかつ早く桜を咲かせる存在を先人たちは知っていたわ……それが『リリーホワイト』よ」 フランの演説に、二人は生唾を飲んだ。 「そして始まったのが、『リリーホワイト』争奪戦。春を知らせ、草木に花を咲かす『リリーホワイト』を誘導し、他の妨害を蹴散らす戦い」 フランは再び座り、肘をついて眼前で手を組む。 「今年もそれが始まるわ……力を貸してちょうだい。私と、あなたたち二人を合わせた三人で、天下を取りましょう」 フランは、手を差し出した。 チルノは黙ってその手に自分の手を重ねる。 ナランチャも、口を開かずに手を重ねる。 「みんな、勝つわよッ!」 三人分の咆哮が、校舎に響き渡る。 「……で、気合入れたはいいけど、人数はどうすんだよ。相手はいっぱいいるんだろ?」 団結式を終えたナランチャが、複雑な表情を浮かべた。 「心配ないわ。私たちはお姉様のチームのメンバーとして戦うことになるわ」 フランは、バッグをつかんで教室のドアを開く。 「それって、お前の姉ちゃんの手下になれってこと?」 ナランチャはバッグを持って廊下に出た。 「いいえ、頃合いを見計らってお姉様をぎゃふんと言わせるわ」 フランの言葉に、ナランチャは驚いた。 「あたいそれ知ってる! たしか『反逆』って言葉よね!」 チルノが駆けて二人の隣に並ぶ。 フランが黒い笑みを浮かべた。 「そうね。反逆よ。今は私たちは小さな子ども三人だけだけど、時期が来ればナランチャは無双の戦士に、チルノは100人の軍団を統べる指揮官に、そして私は花見の帝王として君臨するわ」 靴を履きかえた三人は、校庭に出た。 フランは日傘をさす。 「でも、俺たち三人じゃきつくないか?」 ナランチャがバッグを振りながら言う。 「『リリーホワイト』を誘導するのは私たち3人だけよ。他の人たちには……ここで花見の準備でもしてもらおうかしら」 日傘をくるくると回しながら、フランはチルノとナランチャの方を振り向く。 「じゃあ、今からフランの家に行くの?」 宙に浮かぶチルノが、フランの先に出た。 「いや、先に香霖堂に行くわ。トランシーバーを取りに行くわよ」 フランも浮かび上がった。 「アレか! ちょうど三つあったから、秘密の通信に使えるな!」 ナランチャも飛び上がる。 空を飛ぶ術は幻想郷では一般的に普及しているのだ。 「善は急げね」 三人は空を飛んで香霖堂へと向かった。 香霖堂。そこは偏屈な店主が半ば趣味で経営している骨董品店である。 そこには幻想郷では手に入らない品があることも珍しくない。 トランシーバーも、その一つである。 「ふむ……これは『ザ・ワールドのDISC』か。用途は『時を止める』……」 その店主、森近霖之助は手に持つ黄金のDISCを頭に押し当てる。 だがそのDISCは霖之助には適応しないらしく、DISCは霖之助の手から飛び出る。 「うーむ……やはりDISCを使うにはDISCに適応していないといけないらしいな……」 霖之助はDISCを拾い上げ、机の上に置く。 一息ついて、キセルでも吸おうかと思った矢先、ドアベルが鳴った。 扉を開けたのは、フラン、ナランチャ、チルノの三人組だった。 「おや、君たちかい。トランシーバーは確かに取っておいたよ」 三人の姿を見るなり、霖之助は引き出しを開けてトランシーバーを三つ取り出す。 フランは小銭を机の上において、トランシーバーを受け取る。 霖之助は、フランの顔を見て何かを思いついた。 「そうだ、君の所のメイド長は、時に関係した能力を持っているって話を聞いたことがある。これを持って行ってみてくれ」 霖之助は、机の上にある『ザ・ワールドのDISC』をフランに手渡す。 「彼女なら、これを使いこなせるかもしれないな」 フランは目を丸くして、そのDISCを見た。 フランは、あることを思いついた。 「無論、お代は頂くけどね」 「いいわ。それも頂きましょう」 フランは小銭をポケットから取り出し、机の上に置く。 「それじゃあね。人里で花見があった時は、絶好の場所を取っておくわ」 フランはそれだけを言い残し、ドアを開いて出ていく。 「今度コーラ仕入れたらまたくれよな!」 ナランチャも開かれたドアから飛び立つ。 「ちょっと二人とも待ちなさいよー!」 チルノも慌てて飛び立つ。 「やれやれ……あの子たちは何を始めるんだか……」 霖之助はため息をついて、本を開いた。 深夜12時 紅魔館 庭園 「諸君に集まってもらったのは他でもないッ!」 大勢の妖精たちの前で、レミリアはマイクを手にした。 「花見だッ! 幻想郷の誰よりも早く花見を執り行うッ! そのためには諸君の力が必要なのよッ!」 レミリアの大声に、妖精たちは湧き上がる。 「戦いよッ! 幻想郷中の有力者が春を呼び寄せようとしているわ。その全員を出し抜いて、この紅魔館が春を手に入れて花見を執り行うッ!」 妖精たちのボルテージは、最高潮に達した。 周囲の妖精たちが騒ぐ中、一人だけ冷静な妖精がいた。 「なんで私はこんなところにいるんだろう……」 大妖精であった。 「いや、みんなが行ってるからそれについて行っただけだったっけ……」 大妖精は、ため息をついてここから抜け出そうとした。 「では紹介するわ。諸君らをまとめ上げる指揮官の、チルノよ!」 大妖精が帰ろうと思って振り返ると、レミリアの声が耳に入った。 「……え?」 思わず振り返りなおした。 壇上にチルノとナランチャがいる。 「チルノちゃん! ナランチャくん!」 大妖精は、素っ頓狂な声を上げて飛び上がった。 「おお! 大ちゃんだ!」 壇上のチルノは、飛び上がった大妖精を見つけて指差した。 「チルノちゃん! なにやってんの!?」 大妖精はチルノの元へ飛んでくる。 「何って? ぐんだんちょーよ!」 「軍団長って……ここはいつ軍隊になったの?」 「フランちゃんの姉ちゃんが言ってたでしょ? リリーちゃんを呼びたいけど、みんなが邪魔するからそれを跳ね除けるためにみんなとあたいの力が必要なの!」 無い胸を張るチルノ。 「チルノちゃん、一人で大丈夫なの?」 「しょーじきこんなに集まるとは思わなかった」 チルノは、目の前の妖精たちを見てため息をついた。 100人なんて話ではない。1000人は集まっていた。 「副長が必要ね。よし、大ちゃんを副長に任命するわ!」 あっという間に副長が決まった。 「……ゑ?」 大妖精は、理解できなかった。 「チルノちゃん、それってどういうこと?」 「だから、大ちゃんは副長! あたいと一緒にみんなをまとめるの!」 頭の悪い問答を繰り返す二人を目の前にして、 「なあ、フラン、副長なんて作っていいのか?」 ナランチャはフランの方を振り向いた。 「んー、まさか1000人近く集まるとは思わなかったわ」 フランは腕を組んで、庭にぎっしりと詰まっている妖精たちをみた。 「じゃあ、大ちゃんも仲間にするか?」 「まあ、二人の友達なんだし、いいんじゃない?」 「そうだな! じゃあ大ちゃんは副長で!」 ナランチャも、大ちゃんの肩に手を置いて大妖精を副長に任命する。 「え? ええ?」 大妖精は目を白黒させて、辺りを見回す。 「「「チルノ軍団長! チルノ軍団長!」」」 「「「副長! 副長!」」」 辺りには、妖精たちのコールが鳴り響いていた。 ガキ大将の影響力は、すごかった。 「じゃー後で作戦会議だからフランの部屋に集合ね!」 チルノは大妖精の手を引いて壇から降りる 代わりにレミリアが壇上に上がり、ワイングラスを持つ。 「では、戦いの前途を祝して、乾杯よ!」 妖精たちの祝宴が、開かれた。 「大変なことになっちゃったなぁ……」 騒ぎに騒ぐ妖精たちを見て、大妖精はため息をついた。 「大ちゃん、ちょっと来て」 フランが突然大妖精の手を引いて歩き出した。 「ち、チルノちゃん。どこ行くの?」 「作戦会議ッ!」 四人は扉を開けて紅魔館の中に入る。 階段を下りて、図書館の扉を開く。 谷のような本棚の間を歩き、フランの部屋を開く。 「うわぁ……フランちゃんの部屋ってこんななんだ……」 フランの部屋を見て、大妖精は目を丸くした。 ピンクのレースで彩られた、キングサイズの天蓋付きベッド。 ガラスでできた、歯車の無い時計。 並ぶレコードに、蓄音機。 そして、何故か発泡スチロールの箱が置いてある。 「さて、聞いてほしい話があるの」 フランはベッドの上に座る。 「まずは新しく入ってきた大ちゃんに説明しなくちゃね」 「説明? どゆこと?」 大妖精は、首をかしげた。 「私たち5人は、紅魔館に勝つわ」 フランの発言に大妖精は驚いた。 「紅魔館に勝つって……どうやって勝つの?」 大妖精はフランに詰め寄る。 対してフランは余裕の表情である。 「いいこと……戦いは必ずしも腕っぷしや弾幕だけじゃないの。この戦いはリリーホワイトを呼び寄せるためのもの……つまりリリーホワイトを呼び込めば勝ちなのよ」 「でも、リリーちゃんは気まぐれで、通る所もでたらめよ」 大妖精の言葉に、フランは笑みを浮かべた。 その言葉を待っていましたと言わんばかりに。 「さて、ここからが本題よ。リリーホワイトが動く目印になっている道具があるらしいの」 「リリーちゃんを呼び寄せる道具?」 「なんでも、『春水晶』って名前で、リリーホワイトが動く目印になっているらしいの」 そう言って、フランはベッドの下から透き通った水晶を取り出す。 大妖精は、それを手に取って覗き込んでみる。 「これが『春水晶』ね……でもなんでこんな所に保管してあるの?」 「お姉様曰く、ここが紅魔館の中では深い所らしいの」 春水晶を返してもらったフランは、ベッドの上にそれを置く。。 「つまり、リリーちゃんを呼ぶための戦いって、この春水晶の奪いあいなの?」 「流石大ちゃん。勘が鋭いね」 フランに褒められて、大妖精は髪を軽く掻いた。 「でもよー。そんな大事なものならもっと大事に隠さないか?」 ナランチャが、棚のレコードを眺めながら言った。 「うん、それなんだけど、この水晶って魔法とかかけちゃうと簡単に壊れちゃうんだって。だから、こうやってベッドの下に隠してるの」 フランが、春水晶をなでながら答える。 「うわ、面倒だな!」 ナランチャは苦虫をかみつぶしたかのような表情をした。 「しかもバリアとか結界に触れても壊れちゃう。もろいにもほどがあるのよ」 「すっげー面倒だな」 「でしょー」 「でもよ、これがあるならわざわざほかの所と争ったりする意味ないんじゃねーか? これがあれば勝手にリリーホワイトがやってくるんだしよ」 ナランチャは、春水晶を指差す。 「生憎だけど、これと同じものを他に持っている所があるのよ」 フランは、両手を広げて肩を上下させた。 「つまり、『リリーホワイト争奪戦』は『春水晶』の奪い合いとも言えるって訳よ」 フランがベッドから立ち上がり、レコードを選ぼうとすると、ドアがノックされた。 すぐにドアに駆け寄り、ドア越しに 「そうして私も今この部屋を後にして」 と囁く。 すると扉越しに、 「最後に誰もいなくなる」 と声が返ってきた。 フランはすぐに鍵を開け、ドアを開く。 「注文の品物を持ってきた。『フーファイターズのDISC』と『ホルス神のDISC』だ」 入ってきたのはディアボロだった。 彼の手には、二枚のDISCが握られている。 フランにそれを手渡した時に、ディアボロの目とナランチャの目が合った。 「げっ……」 ディアボロは、狼狽した。 目の前に反逆した奴がいる。しかも殺したはずだ! 「…………」 ナランチャは、ディアボロをじっと見つめている。 「……なあ、それ香霖堂とかにあるスタンドDISCだろ? 他に無いのか?」 ディアボロは、懐から3枚のDISCを取り出す。 右から順に、サイコロ模様のDISCが二枚と、赤色のDISC一枚。 「このサイコロ模様のDISCが『ミキタカのDISC』……スタンドDISCではないが、使うと小さなサイコロに変身することができる。で、この赤いDISCが『メタリカのDISC』。装備すると鉄を操れるようになる」 「へー! スタンドDISC以外にも不思議なDISCってあったんだ!」 ナランチャは目を輝かせて、ディアボロを見た。 「まあ、そうだな。今は持っていないが、他にもある」 ディアボロは視線をそらしながら答える。 「『メタリカのDISC』はともかく、『ミキタカのDISC』は俺は必要ないものだ」 ディアボロは『ミキタカのDISC』を二枚ともフランのベッドの上に投げて置く。 「俺はここらで退散させていただく。今から必要なものがたくさんありそうだからな」 それだけを言い残し、ディアボロは部屋から出ていく。 実際の所は、彼はナランチャが自分の正体を思い出す前に逃げ出したかっただけだった。 ドアが閉じられるのを、4人は見送った。 「で、フランちゃんはこの『春水晶』で何を始める気なの?」 ベッドの上にある『ホルス神のDISC』を弄りながら、チルノは質問をした。 フランは部屋の隅にある発泡スチロールの箱を取り出した。 「チルノちゃん、あなたには偽物の『春水晶』を作ってもらうわ」 箱を開けて、おがくずの詰まった中身を見せる。 「ナランチャには、『春水晶』を密かに持ち帰ってもらうわ」 フランに指差されて、ナランチャは目を見開いた。 「……マジ?」 「マジ」 冷や汗を垂らすナランチャに、うなづくフラン。 「この屋敷に『春水晶』を探知する魔法とかかけられてんじゃないのか?」 「残念だがそれすらできないのよね」 ナランチャは、大役を任されてしまった。 「でもよ、お前のところのメイドにボディチェックとかされたら、どうすんだよ」 諦めずに反論するナランチャ。 フランは咲夜の事を思い出した。 確かに、咲夜ならナランチャに感付かれずにボディチェックができる。 そうされたら、計画はおしまいだ。 「ナランチャの言うとおりね。『春水晶』持ち出しは先送りにしましょう」 ため息をついて、フランは春水晶を手に取った。 「じゃあ、チルノちゃん。これそっくりの氷像を作ってちょうだい」 「まかせなさい!」 チルノは、フランの頼みに胸を張って応えた。 チルノの手のひらに、冷気が収束していく。 それは空気中の水分を凝結させて、『春水晶』そっくりの氷像を作り上げた。 「一丁あがり! あたいったらさいきょーね!」 チルノは満面の笑みを浮かべ、箱の中に氷像を収める。 フランはすぐにふたを閉めて、それを部屋の隅に置いた。 続けて春水晶をベッドの下に置く。 「じゃあ、これで今日は解散ね。明日から寺子屋が終わったらすぐにここに集合しよう」 「「「おー!」」」 フランの呼びかけに三人は拳を挙げて応え、部屋から出て行った。 ←To be continued... いつも通り作戦会議をしにフランの部屋に集まったフラン、チルノ、大妖精、ナランチャ、ディアボロの5人。 しかし、紅魔館にはもう一人の、招かざる来訪者がいたッ! その名は『アルティメット・サディスティック・クリーチャー』風見幽香ッ! 彼女の目的はただ一つ、春水晶ッ! 彼女の猛攻の前に、紅魔館の少女たちは耐え抜くことができるのかッ!? 次回、『究極の嗜虐者』
https://w.atwiki.jp/orz1414/pages/106.html
■霊夢2 前回書いた霊夢ものの続きです。つーかエピローグ化しました。 何話かあるものを無理やりまとめたので 無駄に長いです。ごめんなさい。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ようやく迎えた春、花たちが目覚める季節。 おなじみの(といっても俺は始めて見るが)ほんわか妖精が、満面の笑顔で春を伝えるこの良き日に、 「○○~、準備できたの~?」 「ああ、今行く!」 俺は帰り支度を整えていた。 俺がひょんなことからここ幻想郷に足を踏み入れることになったのは、去年のこと。 正しく人災――いや、妖怪が起こしたから妖災か?――に巻き込まれた俺は、そうして俺をここに「招いた」妖怪に仕える、九尾の狐の八雲 藍さんの計らいで、博麗神社という所に厄介になっていた。 「運がよかったよな、正直」 神社での暮らしは新鮮だった。 初めのうちは男女一つ屋根の下という事もあってかなり緊張したが、一月とたたないうちにいつもの調子を取り戻せた。 というか、家主である博麗霊夢が、そういったことをまるで気にせずいつもどおりだったので、何か気にするのが ばかばかしくなった。というのが正しい。 今にして思えば、あのころはなんというか、男として見られてなかったような気がしてちょっと気が滅入る。 「そういえばそのあたりからだよな、霊夢の様子がおかしくなったのは」 「私がどうかした?」 「うわっ!?」 ふと、思い出したことを口にすると、いつの間にかそばに来ていた霊夢が返事をする。 突然のことだったので、ちょっと驚いてしまった。 「何よその驚き方は…。いつまでも出てこないから様子を見に来てあげたのに」 「あ、ははは。悪い、ちょっとな」 あわてて謝る。 いかんいかん、考え事で周りが見えなくなるのは俺の悪い癖だな。 「まあいいけど…で? 私がどうしたの?」 「ん…、いや、俺がここに来てからの事を思い返してたんだ」 苦笑しつつ聞いてくる霊夢に、俺は最後の荷物をかばんにつめつつ答える。 俺の言葉に、霊夢は人差し指をあごに当て、しばし考えるしぐさをする。 「あれから3ヶ月…か」 「正確にはもうちょっと長いんだがね。まあそのくらいか」 「改めて考えると意外に短かったのね。もっと前から暮らしてた気になってたわ」 「はは。…で、ここに世話になってから一月程した頃、霊夢から相談されたろ」 「あ、…あの頃の事ね…なんか恥ずかしいなぁ」 ここの暮らしに慣れ始めた頃、霊夢の様子がおかしくなった。 普段はいつもどおりなのだが、時折ひどく不機嫌…と言うか、情緒不安定になるのだ。 本人曰く、俺が別の人――例えば、霊夢の友人で魔法使いの少女、霧雨魔理沙とか――と話をしているのを見ると、 だんだん心がもやもやしてきて…そうなるらしい。 今にして思えば「ああ、そういうこと」と思わず「ニヤソ」としてしまうような話だが、 「自分は男として見られていない」と信じていた当時は原因がまったく分からなかった。 いや、可能性のひとつとして考えてはいたが、「ありえない」と切り捨てていたというのが正しいだろう。 霊夢に対して淡い思いを抱いていたその頃の俺は、何とか霊夢の力になりたいとその方法を模索していた。 その一環として、霊夢がよくお世話になっている、俺もいろいろとよくしてもらった古道具屋の主、森近 霖之助さんに相談した。 「あの時妙に遅いと思ったらそんなことを…」 「早いほうがいいと思ったんだよ」 「それで? 霖之助さんはなんて言ってたの?」 「うん…」 結局のところ、処置なしというのが結論だった。 もっと正確に言えば、これは霊夢自身でどうにかすべき問題であり、周りがちょっかいを出すべきでない、と。 「まあ、そうでしょうね」 「ああ」 そして、同時にこうも言われた。 「もしも君が霊夢の力になりたいのなら、そのことこそが大事だ。ならば、今はだめでも、いずれ君が力になれるときも来る」 …と。 「なったかしら? なってないわね」 「ひでえ」 「冗談よ。あなたには助けられたわ、いろんな場面で。…多分」 「多分かよ」 「そうですねぇ、いろいろありましたもんねここ最近。いやはや、記事がたくさんかけて助かりました」 「……」 「……」 「? どうしました? お二方とも黙りこくって…」 突然増えた声に、しかし今度はあわてず騒がず、声の主のそばへ向かう。 「あれ? 何で○○さんは私の後ろに…? 霊夢さんは霊夢さんで何か笑顔がこわ「ど・の・ツ・ラ・さ・げ・て・んな事言うかこのデバガメ天狗はああっ!!」みぎゃあああっ!?」 握り拳に懇親の力をこめて声の主の側頭部を挟み込みグリグリする。 古典的お仕置き法として親しまれているだけあって、妖怪にも効果は高かった。 この声の主、こいつの名前は射命丸 文といい、「文々。新聞」という新聞を書いている新聞記者だ。 鴉天狗という、幻想郷の外でも(日本限定ながら)割と馴染み深い種族の彼女は、しかしその多くの人が抱いているであろう 天狗のイメージを、多分木っ端微塵に砕いてくれる。 何せ彼女ときたら、幻想郷の女の子達の噂を求めて西東、天狗仲間からも情報を集めたりするうち、どんどん話が大きくなっていく。 最終的に彼女が記事にする頃には、事実が1、嘘が3、大嘘が6くらいの割合になっているらしい。だれかJAROに連絡しろJAROに。 しかも、聞くところによればジャンルの違いこそあれ、天狗という種族は大なり小なりそういう傾向にあるらしいという。 …俺の幻想を返せよ。 「うう…ひどいです。私が何したって言うんですかぁ」 「自分の胸に手を当ててよく考えてみろ」 「分かりません」 「即答!?」 「当たり前じゃないですか。私はただ真実を見出し、事実を記事にしただけです。それの何が悪いんですか」 「あんたのその自称「真実の記事」とやらのおかげで、こっちはいらない迷惑をこうむったのよ」 「あの時は大変だった…」 霊夢の件で悩んでいた頃、こいつは一体どこをどう誤解したのか、事もあろうに俺と霊夢と魔理沙の間で 三角関係が出来ているなどと書きやがったのだ。 確かに魔理沙とは親しくしていた。話していて楽しいし、飽きない。それに、いろいろと世話になっていたりもした。 例えば、外から来た何の力も無い俺のために、わざわざコネを使って護身用に特注の呪符を用意してくれた。 後で、それを理由に堂々ととある図書館に入り浸っていたという話を聞いたあたり、本当に好意かと思ったりもしたが。 しかし、俺も魔理沙もあくまで友人としてお互いに好意を持っていたのであって、恋愛対象ではなかった。 なのにこの記事が出たおかげで、人形遣いやら図書館の主やら吸血鬼姉妹の妹の方やらに何度か殺されかける羽目になったのだ。 同様に詰め寄られた霊夢もかなり嫌そうな顔をしていた。あの頃は(俺への感情とかの)自覚もなかったので、別の意味でも かなり不機嫌だった。 「何であなたなんかと…」 と、食事時のたびにぶつくさ言われて胃に穴が開くかと思った。 魔理沙は魔理沙であの頃から何かの研究を始めたらしく、人を寄せ付けずにお篭りしだした。 そのため、新聞に気づいて誤解を解きに動き出すまで結構間があり。それも事態の混迷化に拍車をかけた。 要するに苦労したのだ。マジで。 「それを貴様は…」 「で、でも結局はこうなったんだからあながち間違っては…。そうですよ、私はむしろお二人の恋を支援したんです。 て言うかキューピッド? だからそんな風に言われるのは心外です!」 「反省の色無いよこいつ…」 「…○○」 「ん?」 お騒がせ天狗娘のあまりといえばあまりな開き直りに、むしろ呆れが生まれてくる。 そこに霊夢が声をかけてきて、そちらを向くと、霊夢はこぶしを握り親指を立てていた。 「……」 無言でそのこぶしを反転、親指で地面を指す。その意味するところを理解した俺は 「みぎゃあああああっ!! いたいいたい地味に痛いです、ごめんなさいごめんなさいもうしません、もうしませんから力抜いてあああああーっ!!?」 私刑執行。 しばらく後、涙目で頭を抱えうずくまる文に、霊夢は素敵な笑顔で説教をしていた。 うん、見たくない。夢に出るよあの笑顔は。 ややあって、俺は外に出た。霊夢はまだ文に文句を言っている。 境内には、俺のためにわざわざ見送りに来てくれた人たちがいた。…ありがたい話だ。うん。( T-⊂) その中に、談笑をしている魔理沙を見つける。向こうもこっちに気づいたようで、声をかけてきた。 「よ、おそかったな」 「ああ、ちょっと片付けながら思い出に浸ってた。」 「なんだそりゃ、年寄りじゃあるまいし」 「悪いか。…所で霖之助さんは?」 「香霖は店だ。お前によろしくってさ。」 「そっか」 なんともいつもどおりな調子の会話。とてもこれから自分の世界に帰るなんて思えないほどに。 だがまあ、その気楽さが微妙にうれしかった。 霖之助さんに会えないのは残念だが、まあ仕方ないか。 「今日でお別れね」 「向こうでも元気にやりなさいよ」 「ああ。ありがと」 そう声をかけてくれるのはアリス・マーガトロイドとパチュリー・ノーレッジ。どっちも魔理沙の知り合いで、魔法使い。職業ではなく、種族の。 二人とは魔理沙がらみの件で特に親しくなった。誤解で殺されそうになったあの件だ。 「取り乱してしまってすまない」と、本当に申し訳なさそうに謝る二人に、何だかこっちが悪い気がしてしばし謝罪合戦になったのは ちょっとほほえましい思い出である。その後ろにイイ笑顔の紅白と黒白がいなければ。 「そうだ。パチュリー、これ」 「なに?」 言って取り出したのは3枚の呪符。魔理沙が俺のため(と図書館入りびたりのため)に彼女に特注してくれたスペルカードだ。 「ああ…。そういえば結局お詫びの新しいカードは渡せずじまいだったわね」 「そうだね」 このカードは、外の世界から来た何の力も無い俺のために用意された特別のスペルカード。 ふつうのカードはひとつの「属性」及び「効果」に特化したものが多いのに対し、このカードは「属性」こそ単一だが 「効果」が一定ではない。イメージによって多彩な効果を発揮できる汎用性に優れたカードだ。 どちらかといえばそういう「便利な」カードは上級に分類され、簡単なことならむしろ自前の魔力・霊力でこなしてしまう。 しかし俺の場合、そもそもその「力」が無い。 ということで、動力源となる魔力を蓄える電池の能力と、実際の効果を発動するスペルカードの能力を併せ持つこのカードが生まれたのだ。 まあ、なれないカードの扱いをしかも一度に二つ三つの効果を併用させて…なんてするより、「飛ぶ」とか「飛び『ながら』撃つ」 という感じで、出来るだけひとつのイメージにまとめてしまえたほうがいいのでは? というところから来ているのだが。 初心者向けな分効果は弱いし限定的ではあるが、その辺は仕方が無い。 何でも、適切なレクチャーと訓練、そして相性のよさがあれば、こういう「初心者向け」のアイテムは誰でも使えるものだそうで、 俺もまた自分と相性のいい属性を調べてもらい、その属性のカードを作ってもらったのだ。 ちなみに俺の場合、風、雷、そして土の系統との相性がよかったらしい。 お詫びの…とは、記事の件で殺しそうになってしまったことへのお詫びに、アリスにも協力してもらって、より性能のいい カードを作ってもらう約束をしていた件である。 完成したそれを受け取りに行く途中妖怪に襲われ、死ぬ思いをした。 その後のごたごたもあって結局うやむやになり、新しいカードはお蔵入りとなってしまったのであった。 「返しておこうと思って。向こうでは使わないから」 「何だ、返すのか?もったいない」 「いいの? もしものときのことを考えたら、あったほうがいいと思うけど」 「そうよ、無くて困るよりはいいわよ?」 そういってくれる三人に、俺は首を振った。 「どっちみち充電しなきゃ使えないし、俺には過ぎた力だよ」 「そう…」 差し出されたカードをじっと見つめるパチュリー。ややあって顔を上げると、彼女は笑顔でそれを受け取った。 「そういうことなら受け取っておくわ。でもよかった。あなたが力の使い方を誤るような人種じゃなくて」 「そうね、魔理沙みたいにいろいろ間違いまくってるのも困るし」 「心外だぜ、私のどこが間違ってる」 「吹き飛ばすことしかしないじゃないの」 「この前私の人形コレクションがひどいことになったのは誰のせいかしら?」 「う…。お、おい、お前からも何か言ってくれ。ひどい言いがかりだぜこれは」 「俺は力の使い方とかそういうのの基準はよく分からんが…少なくとも邪魔者を吹き飛ばしながら本とかを強奪しておいて 『借りただけだ』とか嘯くのはいろいろ間違ってると思う。わりと」 「ひどいぜ…」 魔理沙、轟沈。 ひとしきり笑いが起こる。 「でも残念ね、あなたならこのカードのさらに面白い使い方を考え出してくれそうだったもの。…あんな無茶をするあなたなら」 「それを言うなよ…」 新しいカードをもらいに行く途中、妖怪に襲われて死に掛けた件のことだ。 湖で⑨な氷精に思いっきり迷子にされ、さらに追い討ちをかけるように宵闇の妖怪に追い回されたのだ。 「何だ、そんなやつにてこずったのか」なんて考えたやつ前に出ろ。同じ状況に放り込んでやるから。 カードのおかげでそれなりに戦えると言っても、所詮は素人。 ましてや比較的平和な外の人間の俺では、(幻想郷の)一般人レベルにすら勝てるかどうかである。 そんなやつに期待できるものじゃない。 真っ向勝負は自殺行為と即座に判断した俺は、とにかく知恵をめぐらせて姑息に生き残る事を選んだ。 スペルカードの「イメージしだい」という特性のおかげで、そういう小手先の手段は想像力の限り用意できる。 カードにプールされた魔力が尽きなければ…という制約付きではあるが。 あるときは風で匂いや音を操って相手の捜索を逃れたり、またあるときは土くれで人形を作ってそちらを追いかけさせたり… 結論から言えば、それは成功した。 しかし、こうむった被害もまた甚大だった。 何せ、最終局面ではカード3枚中2枚が魔力切れ、相手が気紛れに放った光線(ムーンライトレイというらしい)を受けて 右腕が大やけど、天候は最悪の嵐、さらに相手はここ数週間何も食べていないらしく異様な執着――そうでなければとっくに逃げれただろう――を見せる。 いや、もう終わったよ。と正直思った。 いい加減覚悟を決めるか、そう思ったとき、霊夢の顔が頭をよぎった。 俺は、霊夢のことが好きだった。 でも、そのことを告げることをせず、胸に秘めたまま元の世界に帰るつもりだった。 相手にされていないと思っていたから。玉砕するのが怖かったから。 霖之助さんにかつて相談したとき、そのことを突っ込まれた。 「力になりたいのが、好きだからという理由なら、なぜ、そう言わないのか」と。 俺はその時、 「いずれ別れるからだ」と答えた。「どのみち別れ別れなら、言うだけ無意味じゃないか」と。 霖之助さんは何も言わなかった。俺もそれ以上言わなかった。 霖之助さんは気付いたから、俺もわかっていたから。 「それは、タイムリミットを理由にした逃げだ」と。 単に怖かった。今のまったりした関係が壊れるのが。 単に嫌だった。彼女のそばにいづらくなるのが。 言えば壊れる、すべてが変わる。 いいほうに変わる保証なんて無い。なら…今のままで。 …でも、その日、その瞬間。 「それこそ二度と、あえなくなる」 そう理解した、その瞬間。 何よりも、ただそれだけが、 それだけが、怖かった。 ……その後のことを、詳しくは覚えていない。 治療してくれた永遠亭の薬師さんによれば、かなり強引な「見立てスペル」による緊急離脱を行ったらしい。 生命の危険に際し、カードがイメージのリミッターを外し、多少強引な解釈も受け入れて術を行使したのだという。 その結果、俺は右腕のみならず全身がボロボロの状態で境内で発見されることとなった。 ちょうど、探しに出てくれていた魔理沙たちが一度戻ってきた頃だったため、発見が早く、手遅れは免れた。 ただ、第一発見者の霊夢――心配のあまり暴走寸前で、魔理沙たちに待機を厳命されていた――は、 俺の惨状を見てそのまま気絶してしまった。 俺が横になっている間、霊夢はほとんどそばを離れなかった。 散々怒られた。 甘んじて受けた。はたかれたりもした。 完治がちょっと遅れた。 ある日彼女に、あの時感じたことを言った。 散々泣かれた。 痛くてろくに動かせない体に抱きつかれ、散々泣かれた。 完治がもうちょっと遅れた。 でも、 得たものは大きかった。 さすがは蓬莱の薬師といった所か、かなりのダメージだったはずが割と早く治った。 が、大事をとってもう少し療養することになり、帰るのが少し遅れた。 少しだけ伸びたタイムリミットを、二人で有意義に過ごした。 そして、今日に至る。 「あんなまねは多分二度と出来ないよ。したくも無い」 「そうね。好き好んで死にたがるようなのはそういないわね」 肩をすくめる俺に、苦笑するパチュリー。 まあ、自分が同じ目に遭えなんていわれたら困るわな、そりゃ。 「そういうわけだから、勘弁。まあ、どうせもう帰るんだけどさ」 「ふうん、やっぱり帰るのか」 「ん?」 またも突然の声にそちらを向く。そこに立っていたのは… 「声はすれども姿は見えず…」 「…貴様、どっちを見て言っている?」 「んー? 上のほうかな」 「殺して欲しいのか?」 「いやいや、待てちみっこ。悪かった、わざとだ、誓って悪気があった」 「殺すぞ。それにちみっこって言うな」 「却下だ」 「本気で殺すぞ」 「全力で逃げるぞ」 「貴様な…」 憮然とした表情で俺に文句を言うのはレミリア・スカーレット。パチュリーが住んでいる「紅魔館」の主で、小柄ながら強力な吸血鬼の少女である。 しかしながら、初めて会った宴会の席で、酔っ払った彼女が見せた幼児化「れみりゃ変身」のインパクトのせいか、どうにもいまひとつ怖いと思えない。 結果、「ちみっこ」なる、おそらく本人にとっては甚だ不本意であろうあだ名で呼ぶのが俺脳内で定着してしまったのである。 …ちなみに、本当はもう一人ちみっこがこの神社にいるはずなのだが、最近ふらりとどこかへ行ったきり宴会のとき以外は戻らない。 …どこかに寄生してるのか? あの鬼っ娘は 「まったく…、これから帰るというから見送りに来てやれば何だその態度は」 「人一人殺しかけた妹に向かって、その被害者候補(つーか俺)の前でこともあろうに『まじめに殺れ』などとぬかすやつに 言われたかぁ無い」 「あれはお前が霊夢を取ろうとするかr「はいはい」…頭ポンポンするな。…なでるな! 子ども扱いか貴様!」 「注文の多い吸血鬼だなこのちみっこはまったく。いっそ逆レストランでも開いたらどうよ?」 「何の話だ…」 毎度毎度こんな調子。 どうにか威厳を見せようとするレミリアと、ことごとくスルーする俺。 俗に言う雑魚妖怪とやらにも勝てない癖して、何なんだろねぇ、俺のこの微妙な心の強さは。 まあ単に本気を出されて無いだけなんだろうが。 と、レミリアがあきらめたように深くため息をついた。 「はあ…もういいわ。今回は紅魔館を代表して見送りに来たの。仮にも『あの』霊夢が選んだ男だしね… まあ、ありがたく思いなさいよ?」 それはそれは、と礼を言おうとして、しかしいるはずの人物がいないことに気づく。 「あの人畜有害メイドはどうした? あと、それならさっきひとしきり噛み締めた」 「咲夜が有害なのは敵に対してだけよ。例えばいつまでも礼儀をわきまえない誰かさんとかね。 とりあえず、感謝してるようならいいわ。後、咲夜は今フランの相手してるわ」 十六夜 咲夜。レミリアの従者で、紅魔館のメイド長。何でもそつなくこなし、ナイフ投げが得意。 彼女には何度額を割られかけたことか…。 そして、フランドール・スカーレット。レミリアの妹で、アリスやパチュリーともども俺を「消し」に来た一人だ。 あの時はひどくいやな予感がして、とっさに土の符で地中深くもぐって逃げた。 最もすぐばれたが、あわやと言う所で魔理沙が現れ、矛先がそっちに向いてくれて助かった。 あの破壊力は耐え切れん。て言うか日中に来るなよ、夜でも困るが、愛の力か? 「さすがメイド長、あのじゃじゃ馬の相手とは。しかしお前が代表か? パチュリーが代表だと思ったが」 「私は個人的な知り合いとして見送りに来てるのよ」 素朴な疑問にパチュリーのほうを向くと、即効でそう答えが返ってきた。 「ということ。咲夜のほうも心配ないわよ、優秀な肉の盾もあるしね」 「そういうことなら納得。しかし、門番さんも不憫なこって。メイド長もひどいねー」 即「盾」の意味が分かる俺もあれだが。ちなみに門番さんの名前は紅美鈴(ホンメイリン)、あだ名は中国。不憫。 「それが仕事でしょ? …さて、意外と話し込んじゃったわね。まだ挨拶して無い面子が要るんでしょ? 行ってきたら?」 「ん? …ああ、はいはい」 言われてそのままよそに送り出される。まあ、今日が最後なんだから最低一言は直接礼を言わんとな。 と、鳥居の方を向くと珍しい取り合わせの二人がいた。 片やブレザーにうさみみ、以前俺を治してくれた永遠亭の薬師、八意 永琳(やごころ えいりん)さんの弟子で、月の兎の鈴仙・優曇華院・イナバ(れいせん・うどんげいん・いなば)。 永琳さんの助手としていろいろがんばってくれた。 片やでっかい人魂持ち、冥界の白玉楼という屋敷で、主の亡霊姫、西行寺 幽々子に仕える半人半霊の護衛兼庭師、魂魄 妖夢。 宴会のときに知り合い、短い間ながら戦いの基礎を教えてもらった。俺はかじる程度だが剣道をやっていたので、少しは応用の利くものがあるかも、と思ったのだ。 この二人、生真面目な従者つながりといったところだろうか、話が弾んでいるようだ。 「や、二人とも来てくれたんだ。ありがと」 「ああ、○○。こんにちは」 「こんにちは。その後の経過はどう?」 「至って順調。剣が振れる位には回復したよ。木刀だけど。永琳さんにもお礼を言っといてくれる?」 「了解。がんばった甲斐があったってものね。…まあ、師匠が出張ったんだから当然だけど」 「ええ、本当によかった」 得意げな鈴仙と、わがことのように喜ぶ妖夢。ごめんな、心配かけて。 「でも無理は禁物ですよ、体というものは鍛えただけ強くなるけど、酷使しただけ壊れるのも早いんですから」 「その辺のバランスを見極めろってことね」 「ええ。向こうに帰っても、精進を怠らないように」 「肝に銘じるよ」 でもしっかりと釘は刺される。まあ、無理して体を壊すのは俺もいやだし。 と、なにやら二人がごそごそと自分のポケットをあさりだす。なんだなんだ? 「そうそう。これ、私が作った薬。師匠にもちゃんと見てもらったから、効果は保障するわ」 「こっちはこれを、幽々子様お手製のおいしい食堂のリストです」 「お、サンキュ…って、座薬かよ。言っちゃ何だが、使いどころが難しいな…効能は何なんだ?」 「疲労回復とストレス解消、後すり傷とかの治療かな」 「どー言う座薬だよ! しかも傷って、それじゃ痔にしか使えねえよ!」 「しょうがないでしょ、師匠の課題もかねてるんだもん。材料と製作工程はは師匠のお墨付きだから大丈夫よ…多分」 「俺実験台!?」 「人聞き悪いなあ…。モニターよ、モニター」 「あのなあ…。で、こっちのリストは…って、まっさらのノート!?」 「このお手製ノートに、外のおいしいお店を場所からお勧めから網羅してくるようにと…」 「俺が書くのこれ!? つーか外の世界にまで食いに来る気かよあの食いしん亡霊は!」 「えーと、その…強くあってください」 「いやいや、強くとか言う問題と違うと思うよ、妖夢さん!」 「いいから持ってく!」 「お願いします…」 「マジかよ…」 畜生、意外な落とし穴だ。 よもやこの娘らに胃痛を覚えさせられる羽目になろうとは。 「あはは…まあ、礼は言っとく。ありがと。…とりあえずあとでな?」 何かどっと疲れたのでその場を辞する。うう、癒してマイハニー。 「何やってんの?」 グッド・タイミィィィン!! …って、 「何だ、萃香か」 伊吹 萃香(すいか)。先ほど述べたもう一人の「ちみっこ」にして、幻想郷でさえ姿を見せなくなったという「鬼」の少女。 平たく言えば酔っ払い。 「ご挨拶だなー、せっかく今回はわざわざ気を利かせてみんなを萃(あつ)めてやったっていうのにさ」 「お前の仕業なの? …ならまあそこは礼を言うが…一体今までどこにいたんだ?」 「別に? いたよここに」 「(゚Д゚)ハァ?」 キョトンとする俺に、赤ら顔の萃香はケタケタと笑いながら 「だから、気を利かせたって言ったでしょ? せっかく二人っきりなんだから、邪魔しないように『散って』たんだよ」 「…それデバガメとかいわね?」 「どうだろ? ヘンな事はして無いんだしいいんじゃない? むしろプラトニックすぎていらいらしたけど」 「デバガメじゃねーか…ってちょっと待て、ここにいたってんならもしかしてあの嵐の日も…」 「ああ、あんたが大怪我したあの日? うん、いたし知ってたよ、あんたの居場所も。でもあんたが頑張ってたから手を出すに出せなくてね」 こともなげに言い放つ。おいおい、勘弁してくれよ。 「出してくれてたらあんな怪我は…」 「でもそれ以上のものを手に入れたじゃん」 「…まあ、な」 「結構気に障ってたんだよね、あんたたちの煮え切らなさが。だからまあ、どうにかなるならそのほうがって。結果オーライだね」 「…そういわれると怒れないわね…」 「って、霊夢?」 いつの間にか外に出ていた霊夢が、そういいながら話に加わる。ふと出入り口のほうを見ると、真っ白くなった天狗の姿。 とりあえず黙祷をささげた。「自業自得」と。 「まあ、聞かれてたら答えたんだけどね? でも霊夢ったら気が動転して私のことすっかり忘れてたみたいだし」 「あれは迂闊だったわ。うん」 「でもまあ、いい方に転がったんだからいいじゃない。あんな霊夢の姿はそうそう見れないから、私も得したしね」 「忘れなさい。それは」 ニヤケる萃香。天狗を圧倒した霊夢の凄みも、酔っ払い相手に赤面しながらでは効き目が薄いらしい。 「その後の告白も…いやー砂糖吐くかと思った」 「ってちょっと待て、お前まさか…!」 「ん。聞いてたよ? 一言一句逃さず」 「キャーーーーーーーーーーー!!!!」 うわやべえよ、あんなの聞かれてたよおい、助けてー! 「ほほう、それは面白そうだ」 どっから沸いて出た魔理沙! 「で? どんな感じだったんだ?」 「キメ台詞は確か『ただ霊夢のところに帰りたかったんだ』…っかー! やっぱ極限状態だということが違うねー!」 「あははははは! たしかになー!」 あうあうあー! 勘弁してくれー! 「さらにそのときの霊夢と来たらぶぁっ!?」 おもむろに吹っ飛ぶ萃香。突然のことに驚き、呆然とする魔理沙。 俺は思わず、自分の隣を見た。 神、再臨。 「…お、落ち着け、話せば分かる。な?」 すっかりおびえた魔理沙。見ると萃香もなにやら隅っこでガタガタ震えている。 絶対的な恐怖が支配する中、霊夢が口を開いた。 「○○」 「お、おう」 「ちょっと先に紫のところに行っててくれる? 私はこいつと話があるから」 「いえす、まむ!」 触らぬ神にたたりなし。なにやら酔いが醒めたっぽい青ざめた顔で、助けを求め哀願するような顔でこちらを見る魔理沙と萃香に、さわやかな顔で手を振りつつ全速で後退する。 本日の犠牲者カウント、3。 「なにやら楽しそうね、霊夢は」 「そうっすね」 「というか私はあの二人がかわいそうに思えるのですが…」 「あら、じゃああなたが止めに行く?」 「…謹んで辞退します」 「らんさまー、こわいー」 「落ち着け橙、つーかそこは俺の頭だ。首折れるから、おい」 「こら○○、お前は橙が重いというのか!?」 「人間の身体強度を常識で考えてくれ」 相変わらず親ばかチックな藍さん。 そんな藍さんになつきまくりな猫又の橙(ちぇん)。 そして彼女らを従える、スキマ妖怪、八雲 紫。 マヨヒガに住まう幻想郷最強クラスの妖怪一家、満を持しての到着だ。 「でもよく分かったわね、私がそうだって」 「明らかに藍さんとかを従えてたじゃないか。水戸○門みたいで分かりやすいことこの上ない」 「あらあら、でも最近のあの番組少し微妙じゃない? 昔のキャスティングとかに慣れてるとちょっと違和感が…」 「見てるの!?」 「ドラ○もんもどちらかというと前のキャストのほうが好きだなぁ」 「そっちまで!?」 だめだ、この人はいろいろ桁違いだ。かなわねぇ。 「それはそれとして…今回は悪かったわね」 「ん? …ああ、いや」 すまなそうな顔で言う紫さん。 すっかり忘れてたが、そういえばこの人が原因で俺はここに来たんだった。 紫さんは一転、真剣な目で俺に言う 「今日、あなたを元の世界に帰します。やり残したこととかは無い?」 「ああ」 俺の答えに、紫さんの目がやや険しくなる。 「…本当に?」 「? …ああ、無いが」 「そう…」 言いながら、紫さんは霊夢のほうを見る。 なにやら複雑な感情をたたえた目だ。一体何なんだ? 「…言っとくけど、また来るぞ?」 「え?」 こっちを振り向き、ほうける紫さん。うん、ナイスキョトン。 「だから、また来ると言ったの。向こうでまだやり残した事があるんだよ、挨拶しときたいやつもいるし、片付けなきゃならない事とか色々」 驚いた表情を見せる。ああ、やっぱそこを気にしてたのか。 「……でも、ここを出たら…」 「知ってる。もう入れないんだろ? 少なくとも同じ手では。霊夢に聞いた。その上で決めた。また来るって」 「…どうやって?」 「どうやっても何も…おあつらえ向きに、この神社だけはこっちにも向こうにもあるだろ? だから探すんだよ、ここを」 「簡単じゃないわよ」 「承知の上。長く待たせることになるから、そこだけ霊夢に謝ったけどね」 「霊夢はなんて?」 「なるべく早く帰って来いってさ」 「…そう」 「ああ。なんてったって、ここは俺が一番帰りたい『家』だからな」 「ん。…分かった、どうやら杞憂だったみたいね。でも、約束は果たすのよ?」 「当然。」 笑顔に戻った紫さんに、ぐっと親指を立てて答える。紫さんは満足そうに頷き、背を向けた。 「そろそろお茶の時間でしょ? 送り返すのは一服入れてからにしましょ。藍、○○も、みんなを呼んでくれる?」 「はい」 「りょーかい」 一足先に縁側に向かう紫さんを尻目に、俺は霊夢たちを呼びに行った。 しばしの休息の後、俺たちは鳥居の前に集合した。 「さて…じゃあ、準備はいい?」 「いつでも」 紫さんが俺に声をかける。もうすぐ、一時ながらこの世界に別れを告げることになる。 「短い間だったが、楽しかったぜ」 「カードのほうは、また来たときのためにちゃんと調整しといてあげるわ」 「私も手伝ったんだから、楽しみにしてなさいよ?」 魔法使い三人娘のお言葉。ああ、楽しみにしとく。 「また会うまでに、もう少し目上の者に対する礼儀を学んでおきなさい」 ちみっこ吸血鬼。いや、たぶん無理っしょ。 「使い心地はレポートで提出してね」 「すみません、最後に変なこと頼んで…」 兎と半霊。似てると思ったらこんなところで対照的。て言うか兎よ、実験台にも愛をくれ。 「またいい記事のネタ、期待してますね?」 「お土産は酒とつまみー」 天狗と鬼。て言うか懲りろ、お前ら。 「向こうでも元気で」 「またねー」 式神 s。ああ、そっちも元気で。 「○○…」 そして霊夢。…俺は霊夢のそばに行き、彼女を軽く抱きしめた。 霊夢もまた、俺の背に手を回す。 「じゃあ、行ってくる」 「…あんまり、遅くならないようにね?」 「ああ」 霊夢から離れ、紫さんの待つ鳥居のそばへ。 そこにはすでに、「穴」のようなものが出来ていた。 「じゃあ、しばしのお別れね」 「ええ」 「…まあ、頑張ってみなさいな。…応援くらいは、してあげる」 「ありがとう」 振り向き、今一度みんなの方を見る。 「みんなありがとう! …じゃあ、また!」 そういって手を振る。みんなも思い思いに手を振ってくれている。 俺は、目の前の「穴」に…飛び込んだ。 「…君、君。大丈夫かね?」 「…え?」 気がついてみると、見知らぬ場所。 俺が住んでいた町の…確か、近くの林。 ほんの数ヶ月のことなのに、木々の隙間から見える町並みが、ひどく「合わない」と感じた。 起こしてくれた背広のおじさんに礼を言って別れ、俺は久方ぶりの町を歩き始めた。 さて、「家」に帰るか…。 あれから、どのくらい経っただろう。 今日もいつも通り。境内を掃き、お茶を飲み、たまに来る客の相手をし、休む。 単調な日々のようで、一日一日がまるで違う日常を送る中、私はあいつを待ち続けた。 幻想郷という「隠れ里」 そこに至る者は多くない。 多くは事故でここに迷い込み、あるものは妖怪に食われ、あるものは野垂れ死に、一部の運のいいものは自力なり保護されたりで、ここにたどり着く。 今日はたまたま迷い込んだ子供を、元の世界に帰してあげた。 …あいつは、いなかった。 「まったく…のんびりしてるんだから」 そういいながら、布団を敷く。せっかく干しておいたあいつの分の布団は、今日も無駄になってしまった。 「早く…帰ってきなさいよ」 ぽつりと言って、布団にもぐる。ふと、言いようの無い寂しさがこみ上げて来る。 誰と…魔理沙と一緒でも、ぬぐえないこの感覚。やっぱり、慣れない。 「…っ」 また今日も枕がぬれる。あの馬鹿、帰ってきたら枕の直しはあんたの仕事だからね! そしてまた、一日が始まる。 春が来る。 あいつが行ってしまった季節が。 暖かなはずのこの季節は、しかし最近私をブルーにする。 ほんとに…いつまでかかってるんだか。 何度目かの正月を迎えた、朝。 お雑煮は暖かいけど、どこか寒かった。 だから、食べる気がしなかった。 去年も帰って来なかった。今年は…どうだろう。 寂しい、寂しい、寂しい。 寂しさで気が狂いそうになる。 こんなことなら、あいつを送り出すんじゃなかった。 こんなことなら、あいつを引き取るんじゃなかった。 こんなことなら、あいつを好きになるんじゃなかった。 そうすれば、こんな気持ちにならなかったのに。 そうすれば、私はいつもの私でいられたのに、 そうすれば…。 …でも、きっと寂しいのは変わらなかった。 ただ、気づくか否かの違い。 「馬鹿…」 コタツに突っ伏して、ポツリと呟く。 もう、耐えられないよ…。 「…あれ?」 不意に、ある音が耳に響く。 私の感覚に間違いが無ければ、あれは… 「お賽銭の…音?」 酔狂なやつもいたものだ。 ここ数年、あの賽銭箱にはろくにお金が入っていない。 まあ、幻想郷のものはそういうことはあまりしないから、 よくは分からないが、とりあえずお金を入れる気になったやつがいたのは驚きだった。 鈴の音が響く。 どうやら拝んでいるらしい。 本当に物好き。 ご利益なんて期待しないでよー。 …そう思いながらも、足が向く。 幻想郷のものは、賽銭なんて入れないから。 賽銭なんて入れるのは、本当に気が向いた暇人か、あるいは… はたして、そこにいたのは。 「…何してんのよ?」 「ん? …初詣。今日元旦だし」 「あんたね…一体今日がいつの元旦だと思ってるのよ?」 「元旦は元旦だろ? お参り位してもいいじゃないか」 「そりゃあね。でも…」 「?」 「その前に…挨拶くらい…しな…さいよ…」 「…ああ、そうだった」 ああ、もう。 こいつはほんとに相変わらずなんだから。 いつでも、馬鹿ばっかり言って。 いつでも、痛い目にあって。 そのくせ、約束だけはちゃんと…、 「まあとりあえず、明けましておめでと。…なんか食うもの無い? 体冷えちゃって」 「はいはい、冷えたお雑煮でよければね」 「えー、あっためなおしてくれないの?」 「火の無駄よ」 「ひでぇ」 お雑煮は冷めてたけど、どこか暖かかった。 だから、本当においしかった。 もう、どっかに行っちゃわないでね…。 あとがき―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴm(ダマレ orz 上手くかけない…。 こんにちは、退避所の37です。 前回あげた分の続き…と言うか、まとめてエピローグにしちゃいました。 いろんな人に励まされ、調子に乗ってキーボードを叩いてみました。 やってみるとホント大変ですね、こういうのって。 改めて職人の皆さんのすごさを痛感します。 これからもがんばってください。 この下のチルノの裏は愚痴です。スルー推奨。(マテ ~チルノの裏~ ていうか何だこれ…。 いろいろと書きたいことがあったはずなのに、上手く文章に出来ない。 もっと上手い表現などいくらでもあろうに…。 今回の主人公君には賛否両論…と言うか文句? 出ると思ってます。いろいろ変なものつけすぎました。 すべてわが不徳のいたすところです。orz プロットの内容を考えると楽に5話近く行く計算に…。オネガイ、ナカッタコトニ>orz エピソード解説がキャラ解説っぽいものと一緒に行われている感じで、霊夢ものなのに中盤までは出番少ないし。 何気にこのあとがき部分も途中まで書いてた第2話のあとがきの流用だったりもするし。 もうちょっと短くまとめる力がほしいです。 ごめんね、おいらじんせいけいけんあんまりないから、ごめんね。 ~ここまで~ 198 ─────────────────────────────────────────────────────────── 初冬の朝。 突然障子が開かれ、部屋に光が差し込む。 「起きなさい!何時だと思ってるの?」 霊夢だ。心なしか怒っている様にも見える。 「ああ…おはよう、霊夢。」 「おはようじゃないでしょ?今日は朝から境内の落ち葉を掃くって言ってたじゃない。」 そう言えばそんな事言っていたな…。 だが、この布団の心地よさは捨てるのは実に惜しい。 「ああ、そうだった。」 俺は手を差し出す。 「何?」 疑問に満ちた目で俺を見る 「起こして。」 「はぁ…。まったく…。」 霊夢はため息を吐き、俺の手を掴んだ。手の感触が伝わってくる。 俺はそれを…力を込めて引く! 「きゃっ…!」 バランスを崩した霊夢が倒れてくる。 丁度霊夢が俺に覆いかぶさっている形になる。 「な、な、何するのよ!」 霊夢の頬は赤く染まっている。多分、俺の頬も赤い。 「ん、春度補給。」 「もう…そんな事言って…。あっ…。」 俺は霊夢を抱きしめてキスをした。 「ぷはっ…。」 流石に苦しくなり、唇を離す。 「このまま時間が止まればいいのに…。」 「メイドにでも頼んでみるか?」 「バカ…。」 結局、二人で布団から出たのは昼になってしまった。 霊夢とイチャつきたかった。後悔はしていない。 …しかし描写下手だな俺。 テンコー! 218 ─────────────────────────────────────────────────────────── 前回書いた霊夢ものの続きです。 あらすじはこの前の「まとめてエピローグ」にて紹介してしまったので目新しい部分は無いのが申し訳ないですが、 とりあえずお送りします。 ちょっとシリアス気味です。 途中で一回だけ視点変更があります。ご注意を。 後、ごらんになる方はそれなりの覚悟を ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「なるほど、そんなことがねぇ…。 どおりで、いつもと少し感じが違うと思ったよ」 「ええ…って、やっぱり分かるものなんですね」 「はは、伊達に何年も霊夢と付き合ってはいないからね」 ここは幻想郷の古道具屋、香霖堂…の、蔵。 ひょんなことからここ幻想郷に滞在することとなった俺は、博麗 霊夢という少女が巫女をつとめる、博麗神社にお世話になっていた。 今日この店を訪れたのは、俺という突然の居候の影響でお茶やらなにやらのたくわえが心もとなくなってきたので、 その辺の補充に来たのである。 ここで俺は、補充に来たいくつかの品の蔵出しを手伝いながら、店主である霖之助さんにちょっとした相談をしていた。 それは割と唐突だった。 最近ほぼ毎日のように神社に来る、魔法の森在住の普通の黒魔術師、霧雨魔理沙。 霊夢と並び、幻想郷に来て特にお世話になった一人だが、彼女と雑談をしていたとき、ふと霊夢の様子がおかしくなったことに気づいた。 何と言おうか、彼女にしては珍しく、とてもイライラしているようだったのだ。 そのくせそれを指摘すると、「何でもないわよ」の一点張りで、にべも無い。つーか怒ってんじゃん。 しかし、後になって落ち着いた彼女から話を聞くと、自分でもなぜあんな態度をとってしまったのかまったく分からないそうで、 非常に戸惑っていた。 分かったことといえば、どうも原因が魔理沙との雑談にあるらしいということくらい。 あの時話していた内容は取り留めの無い、それこそいつも話しているような内容で、特に何かの問題なり何なりがあるとも思えなかった。 …内容が犯罪じみていた(また魔理沙が図書館を襲撃した件)のは確かだが。 結局、二人で考えたが理由やその他の結論などは浮かばず、そのまま寝ることになった。 お世話になっていることや、その他もろもろの理由を含め、霊夢の力になりたかった俺だが、一人でどうにかするには いろいろと足りないと思い、幸いにも翌日――つまり今日の事だが――こうして霖之助さんをたずねることになっていたので、 人生の先輩に相談しようと思ったのだ。 「結論から言ってしまえば、たぶんそれは僕の出る幕じゃないと思うよ。霊夢が自分で気づくか何かしないことには…ね」 いきなり役に立たねえなこの道楽店主 「何かひどいことをいわれた気がしたけど?」 …はっ!? なんだったんだ今の(心の)声は… いえ別に思ってませんよ? へんなこと考えてませんよ? 「…まあ、気のせいだろうけど」 「はあ…。でも、それじゃ俺はどうしたらいいんでしょう?」 「と、いうと?」 「その…なんていったら言いか、俺、どうにか霊夢の力になりたいんですよ。 お世話になったからってのもあるけど、その…」 顔周りの温度が上がるのを感じる。きっと今俺の顔は誰が見ても真っ赤になっているのだろう。 「俺は、たぶん、霊夢の、事が…「ああ、ストップ」?」 「大体分かった。とりあえず、その言葉はいずれ本人に言うべきだ」 言われた言葉に、思考が、止まる。 それは一瞬のことだったろう。しかし、それが俺に突きつけたものは… 「…はあ」 「少なくとも、その気持ちがあれば大丈夫だろう。君は霊夢のことを大切に思っている。そのことこそが大事だと思う。 ならば、今はだめでも、いずれ君が力になれるときも来るさ」 「…はい」 霖之助さんの言葉に、うつむいたままの自分。 シンプルで、たぶん正解であるはずの言葉。でも、心は晴れない。 「…何か、あるのかな?」 霖之助さんが、俺に聞いてくる。 俺は、その問いかけに… 「おそかったのね、○○も霖之助さんも、そんなにへんなものを頼んだ覚えはなかったんだけど」 「ああ、ちょっと奥まったところに入り込んでいたのがあってね。いささか難儀したよ」 「魔理沙じゃあるまいし、ふだんから整理しておけばいいのに」 「いやここ店だから、整理整頓基本だから。つかそこで彼女を引き合いに出すのもどうだろな…」 思いっきり嘆息する霊夢の物言いに、思わず突っ込みを入れる。しかし本人はどこ吹く風。まあ、霊夢らしいというか何と言うか。 「まあいいわ。ちょっと待ってて、お茶入れてきてあげるから」 「ああ、ありがとう」 「サンキュー。って、それ香霖堂(ここ)のお茶であって神社のお茶じゃ…」 「はは、まあいつものことだしね」 「そこであきらめるんですか霖之助さん…」 そして始まるまったりタイム。俺たち以外の客がいない店内で、しばし静かな時間が流れる。 霊夢のほうもこの時間を楽しんでいるらしく、ニコニコしている。うん、よかった。そこへ… 「…お、いたいた、やっぱここだったか。おーい香霖、邪魔するぜー」 台風上陸。 「…で、そのときに幽々子のやつがな?」 「はいはい、その夜雀も災難なこって。…霊夢?」 結局また魔理沙のペースになる。昨日の今日で少しは気にしてるかと思ったが、全然そんなことは無いらしい。 それはそれで、また霊夢が昨日のようになっちゃいないかと心配になってくる。今は霖之助さんと話をしているようだが、 ちょっと声をかけてみる。 「え、なに?」 「えっとその…大丈夫か?」 「何が?」 「いやほら、昨日の…」 最後まで口には出さない。分かるだろうし。 「…ああ、大丈夫よ。そう何度も来るものでもないみたいだし」 「そうか、ならいいんだけど…」 お茶を飲みながら、湯飲みを持ってないほうの手をひらひらさせる霊夢。 一応大丈夫そうではある。が、油断は出来ない。 「何だ? 霊夢どうかしたのか? そういえば昨日もなんか様子が変だったけど…」 「うん、ちょっとね。…大丈夫よ、何かあるってわけでも無いから。体調もいいしね」 「そうか? なら、いいんだけど…」 「うん、ありがと」 魔理沙も霊夢を心配するが、霊夢の答えにやや釈然としないものを感じつつも引く。 こういうときの彼女は時に驚くほど強情だからだ。 「はは、さて、そろそろ時間も時間だし、戻ったほうがいいんじゃないか? 特に霊夢たちは荷物もあるだろう」 「え?」 言われて外を見ると、日暮れまであと一時間半ほどというところだった。 「ありゃ、結構話し込んじゃったな…」 「そうね、そろそろ帰りましょうか。じゃあ霖之助さん、今日はありがとね」 「今日の分はつけにしておくよ」 「魔理沙の?」 「待てこら霊夢、そこでなんで私になる」 「なんとなくよ。○○、荷物はよろしくね」 「へーいへい」 そして飛び立つ霊夢と俺。なぜ一般人の俺が飛べるかについては気にするな。 魔理沙の知り合いの魔法使いにその手のマジックアイテムを都合してもらっただけだ。 しかし今回は荷物が多い。普段からそんなに早く飛べるわけが無いが、さすがに今回はちょっともたつくしふらつく。 難儀していると前を行っていた霊夢が、 「ほら、早くしないと日が暮れちゃうわ。少し持ってあげるから、早く」 そういって俺から荷物を半分ほどひったくり、再び前へでる。彼女のこういうところが結構かわいく思えるのは俺だけだろうか。 荷物が軽くなってもそんなにスピードが増えるわけでも無いので、しばしのんびり空の旅。 しばらくするとまた霊夢が俺に並ぶ。やや神妙な顔をして。 「…さっきはごめんね」 「何が?」 首を傾げる俺。 「お店で、心配してくれたでしょ、私のこと」 「ああ、まあね」 「実を言うと…また、だったの」 「え、そうなの?」 「うん」 やっぱりそうか、と思う。霖之助さんがいるとはいえ、シチュエーション的には昨日とほぼ変わっていなかったから。 俺と魔理沙が話しているのを見て、“もやもや”したのだろう。 「本当に…どうしちゃったんだろう、私。いつもはこんなこと無いのに、最近になって…」 「うん…」 霊夢の表情が暗くなる。自分の中で何が起こっているのかわからないのだ。 しかしそれは、霖之助さんの言葉を借りるなら、霊夢自身でどうにかしないといけないもの。何とかして力になりたい俺だが、 それでもおそらく、こうして聞き役に回るとか、ほんの少し支える程度のことしか、出来ることは無いだろう。 …いや。 実のところ、本当にうぬぼれていいのなら、心当たりが浮かばないでは無い。 だが、それはあまりにも自意識過剰な想像で、ある意味「こうであったら」という俺の願望そのものともいえる。 あるいはそれが正解かもしれない。というか、それ以外にすぐ浮かんでこない。 しかし…、それを俺が口に出すことは彼女を振り回すことになるのではないか? それに違ったら違ったで失礼極まりない話だ。 よしんば正解だとしても…それならなおさら、俺にはどうすることも出来ない。 どうすることも… 「理由を、教えてもらえるかな?」 「結果はどうあれ、いずれ、別れることが分かっているからです」 『霊夢には気持ちを告げられない』…。そういった青年は、僕の問いかけにそう答えた。 「俺は異邦人です。事故によって紛れ込んだイレギュラー、本来あるべきでない要素。 次の春が来ればここを離れ、おそらく二度とここに来ることは無い。…たとえ可能性があるとしても、結果の決まった勝負に、 出るつもりはありません」 そういう彼の顔は、しかし、自分で自分の言葉に納得してはいないようだった。 彼は、平たく言えば逃げていた。現実に立ち向かうこと、結果を出すことから。 なるほど、拒絶されれば確かに気まずくなる。多少はつくろえても、いい思い出とするにはやや時間がかかることだろう。 万が一にも結ばれたなら、それはそれで究極の遠距離恋愛だ。二度と会えない遠くなど、いくらなんでも。 とりあえずのタイムリミットを言い訳に、先延ばし…いや、うやむやに済ませてしまえればと考えているのだ。 そして、そんな考えを自覚し、嫌悪してもいる。 …挑むことにおびえ、そのことに憤り、でも一歩を踏み出せない、悪循環。そんな感じの顔だった。 言葉で、諭すのは簡単だろう。でもそれでは届かない。何か、きっかけが要る。彼にも、霊夢にも。 「けど、それを僕が与えてやることは不可能…か」 「? 何の話だ香霖?」 「いや、ちょっとね」 二人が去ってから、僕は外を眺めつつ先ほどの会話を思い返していた。 己の変化に戸惑いを隠せない霊夢と、それを支えようとしていながら、自らもまた薄氷の上にいる彼。 どちらかに転機が訪れない限り、この先にいいことはあまり無いだろう。 といって自分に出来ることは僅かだし、その少ないレパートリーの中には、すぐ役に立つような何かは無い。 つまるところ、適当なときにアドバイスをあげるのが関の山で、余計な手出しをせず静観するのが精一杯なのだ。 彼が霊夢を傷つけることは無い。少なくとも自発的には。 だが結果的にそうなってしまうことはある。そして往々においてそういうときのダメージは馬鹿に出来ないのだ。 そう考えると、早いうちに何とかしないといけないのだが…その割にどこか落ち着いている自分を自覚する。 どこか、言うほどに心配していない自分を。 …まああれだ、「あの」霊夢だ。 そしてその霊夢が、無自覚ながらも見初めた男だ。 そう簡単にはへこたれやしないだろうし、何より周りがそうさせまい。 これまでがそうだったように、これからも一筋縄の日常ではいかないことはわかりきっている以上、そうあわてずとも、 きっかけはおのずからやってくることだろう。 冬以外限定の常連の、あの少女の言葉ではないが、幻想郷はどこまでも残酷だ。 だが同時に、どこまでもやさしい世界でもあるのだ。 後は、彼らの想いの強さ次第、といったところなのだろう。 「僕に出来るのは応援だけか。まあ、それはそれでいいんだけどね」 「だから何の話だよ」 「ああ、また口に出てたか。何、ちょっと考え事をね」 「そうか? まあいいけど。…さて、あいつらも帰っちゃったし、そろそろ私も行こうかな」 「はは…」 実に淡白な魔理沙の言葉に苦笑する。と、ふとあることを思い出す。 「そういえば魔理沙、聞きたいことがあるんだけど…」 「ん?」 「彼のこと、どう思う? 今日もよく話していたみたいだったけど」 「ああ、あいつか? そうだな、好きだぜ」 「そ、そうなのか?」 「ああ。いろいろ外の面白いことを教えてくれるし、反応も面白いし、話していて楽しい。」 「そうか…」 一瞬びっくりした。 まさか魔理沙も…と思ったが、彼女の「好き」はどうやら友達としての「好き」のようだ。 もしこの娘が加わったなら、かき回し役としてそれはそれはいろいろやってくれそうだと思ったが、とりあえず言わない。 しかしこの言い方だと、聞きようによってはちょっと誤解を招きそうな気がするのは気のせいだろうか? 「最近はさ、どんなことを教えてやろうかとか聞かせてくれるかとか結構楽しみなんだよなー。 特に外の世界で人気の物語の話なんか笑えたぜ? ぜんぜん違う話の振りして何気にワンパターンだったりとかさ」 「へえ、それは興味深いな」 「今度聞かせてもらうといい。さて、じゃそろそろ…」 「ああ、引き止めて悪かったね」 「いいさ、後これもらってくな。じゃーなー!」 「ああ、って魔理沙! それは最近流れ着いたばかりの、こらー!」 そのまま飛び去っていく魔理沙に、思わずため息をつく。 まあいつものことだし、どうせ明日にも使い方の説明でも聞きに来るだろうからと、すぐに気持ちを切り替える。 また、あの二人のことが浮かんだ。 彼女のように、彼らもまた、このまったりと騒がしい幻想郷の日常の中で、立ちはだかるものを笑って突破できる力を得られることを 祈りつつ、僕は店じまいの準備を始めるのだった。 ~チルノの裏~ (近くの茂みにて) ―ガサガサ、ゴソゴソ。 「…面白いことを聞きました。これは調べなければですね」 ―うん、やっぱり騒がしい。 ~ここまで~ あとがき―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― こんにちは、退避所の37です。 こんなんでも待っててくださる方がいるなんて…( Tд⊂)アリガトウ というわけで一応の「2話目」です。 相変わらずヘタレでスマソ。 こーりんです。 真面目こーりんです。 褌は多分出ません。 最近ごたごたしてるので次がどのくらいかかるか分かりませんが、次あたり文とかアリスとか出るかと。 では。 234 ─────────────────────────────────────────────────────────── 霊夢ものクリスマス特別変(←誤字にあらず) まったく持って最近は寒い。 火鉢にコタツ、どてらも動員してようやっとノーマルレベル。 さすがは大自然の冬。あの頃のエネルギーに満ちた俺ならともかく、今の俺では…。 「年はとりたくないねぇ~(-ヮ-)」 「藪から棒に何言い出すのかしらこのコタツムリときたら…(-ヮ-)」 「れーむにいわれたかにぇ~~ぃよ~~~ぅ(-ヮ-)(たれ)」 「語尾延びてるわよ~~~ぅ(-ヮ-)(たれ)」 俺の向かい側でコタツに入ってたれてる霊夢。 まったく、久しぶりに会ってすっかり女らしくなったと思えば相変わらずだなぁ。 …と、再開直後には思ってた俺だったが、さすがに2シーズン目ともなると俺にまで伝染してくる。 うん、俺のこのたれっぷりは霊夢のせいだ。間違いない。 多分どっちもどっちだ。ってけーねが言ってた。 「寒いぜ寒いぜ~…っと、何だ、久しぶりに見るなぁ霊夢のコタツムリ」 毎度おなじみの声が響く。 これまた驚くほどきれいになったが、成長しても男言葉と、いたずらっ子チックの笑みは変わらない魔理沙だ。 彼女は勝手知ったるなんとやらとばかりにあがりこみ、そのままコタツに入り込む…って、 「こら~、まりしゃ~。なに○○のとなりにはいってりゅのよ~ぅ」 「しょうがないだろ、外は寒いんだ。少しでもあったかくするにはあったかい物に近づくのは基本だぜ」 「だからって俺に密着するなよ…」 おかげでまどろんでた頭がかなりはっきりした。冷たくて。 「む~…ならわたしもとなりいくぅ」 「おいおい待て霊夢、狭いから、狭くなるから!」 「まりしゃはよくてわたしはだめなの~ぉ?」 「そういうわけじゃなくてさぁ…」 しばし言い合い。 結果。 「えへへ~」 「あ~…(赤面)」 「いやいや、ここまで来ると暑いぜ」 なぜか霊夢をひざの上に乗っけることに…。 つか、霊夢の奴コタツムリ化したついでに幼児化して無いか? 今のお前はかなりスタイルが良いから俺の理性が危険度数倍なんですが? 魔理沙は魔理沙でとっとと向かい側に退避しやがるし…。 「しかし珍しいな、お籠りは順調じゃないのか?」 「そういうわけでもないぜ。ただ今日はあれだからな」 「~~♪(もぐもぐ)」 とりあえず落ち着いてお茶を飲む3人。 霊夢だけはみかんを食っているが。 「あれって言うと…クリスマスか?」 「正解だぜ。で、プレゼントでも…と思ったんだけどな、この寒さで持ってくるのを忘れてしまったんだ」 「それはそれは」 お前の場合貰う方専門じゃないのか? 「○○~、みかん~」 「はいはい」 あーん、と口をあける霊夢の口に、むいていたみかんを一房入れてやる。 幸せそうに口をむぐむぐと動かす霊夢の姿は、何と言うか… 「まるで鳥の雛だな、親鳥は大変だねぇ」 ち、先に言われた。 「なによぅ、いいじゃない、別に」 「はははは…」 「まあ良いや、とにかくそういう訳で、何かくれ」 ゴン 頭打った… 「お前な…」 何がそういうわけだ? 何が。 大体今までクリスマスのことを忘れてた俺らに何を期待する? 「冗談だ。実は香霖のところで面白い本を見つけてな? ちょっと作ってみたものがあるんだ」 「ほう」 「なに?」 「これだ!」 そういって持ってきた風呂敷包みをあける。その中には紙の箱。そしてさらにその中には… 「…ケーキ?」 「クリスマスケーキだぜ」 「なるほど、ってことは本ってのはお菓子作りの本か…ってええっ!!? 魔理沙がお菓子ぃっ!?」 「私だってこのくらいやるさ。じゃあ、ケーキは持ってきたから…」 「はいはい、飯は頼むってんだろ」 「そういうこと」 「あー、じゃあ作りにいくか。そういうわけだから霊m」 「むー(ぎゅ)」 だきつくなー 「…ここに飯たかりに来たのは間違いだったか?」 「そっちもその「やれやれ」なジェスチャーはやめれ。霊夢、とにかく飯作らんことには始まらんから、な?」 「うー…(離れ)」 「なぁ、何か最近霊夢が幼児化してないか?」 「あー…ノーコメントだぜ」 「しかし…クリスマスに鍋ってのもなんだかな」 「文句があるなら食うなよ、いいじゃねぇか、あったまるんだからさ」 「ま、確かに」 「そうそう、おいしいからいいのよ(はふはふ)」 というわけで晩御飯。 とりあえず渋る霊夢(またひざに乗ろうとした)を説得し、コタツの3辺それぞれに座る。 渋っていたわりに鍋をつついてご満悦の霊夢。この様子なら問題ないか。 魔理沙は魔理沙で文句を言いつつもパクパクと食べている。 そんなわけで、クリスマスの鍋パーティーはつつがなく進行したのだった。 「あ、魔理沙それ私のお肉!」 「早い者勝ちだぜ。霊夢だってそんなに確保してるじゃないか」 「いや待てこら、俺なんかいまだに肉一切れも食べて無いぞおい! ってもうねぇーっ!?」 …進行したのだった。(T-T) 「おじやのあとのケーキってのも…」 「作ってきたのは魔理沙だろ?」 「そうそう、それによくできてるじゃない? おいしければいいわよ」 ケーキタイム中。 魔理沙が作ったのはチョコレートケーキだった。 まあイチゴとかはさすがにこの時期は手に入りにくいもんな 「しかしまさかこの前の注文がこれのためだったとは…」 「外の行き来は基本的にお前だけだしな。しかしホント、食べ物の季節感が無いんだな、外って」 実は以前、魔理沙に頼まれ、霊夢と紫さんに許可を得て外に買出しに行って来た。 お賽銭が無くて食べ物の調達とか(主に持ってかれる霖之助さんあたりが)大変だと思い、お土産の意味で向こうの食材を 持っていったら、そのあまりに季節感の無い取り合わせにかなり驚かれた。 で、たまたま遊びに着た魔理沙が大騒ぎしたのだが、今回はそれを利用されたわけだ。 ちなみに紫さん達にはお礼ということで向こうの隠れた名酒の類を大量に買っていった。 「本当はいけないことだけど…また頼もうかしら?」 などといわれた。 それでいいのか、幻想郷の裏鎮守。 「まあ、いろいろあってな。そういえばそれで思い出したが、今日は萃香はどうしたんだっけ? 見ないけど」 「紫のところ。あんたの持ってきたお酒で宴会するって」 「あー、そっち行くって手もあったか」 「ははは…って、最近そういう誘いが来ないなー。何でだ?」 「そりゃぁ…」 魔理沙がある一点をあきれた目で見る。そこには… 「なによ(ぬくぬく)」 ケーキをきるときに再びひざの上に乗っかった霊夢がいた。 「当てられるってもんだぜ」 「あー…」 「最近あのメイド長も顔には出さないけど焦ってるみたいだったからなー」 「へー、あのお嬢様至上主義者がねぇ…」 「いや、むしろお前らに当てられた一般メイド達が、『お姉様っ! 私達も負けてられません、さあ!』って、迫りまくってるから らしいぜ」 「…あー…」 そりゃ処置なしだ。 「まったくあいつには門番がいるのにな」 「マジっすか!?」 「知らなかったの? 結構有名よ」 「うわー…」 「そんなわけあるかぁーーーーーーっ!!!!(ダッシュ)」←メイド長 「「「「「お姉様ーーーーーーーっ!!!!!(追いかけ)」」」」」←メイド軍団 「時間止めて逃げればいいのに…なんでしないの? お姉様(首かしげ)」←悪魔の妹 「私が禁じたから(にやにや)」←紅い悪魔 「うわレミィひどっ(にやにや)」←図書館長 「咲夜さん…(同情)」←門番 「あはははは!(爆笑)」←いたずら小悪魔 「えーっと…(汗)」←司書小悪魔 まさに外道。 以上、クリスマスパーティーの宴もたけなわな某紅い館からお送りしました。 「何か電波が…」 「大丈夫?」 「風邪はひくなよ、霊夢が泣くから」 「泣くか!」 「じゃ泣かないか? 絶対に?」 「ごめんなさい」 「謝るの早っ!?」 もう驚き通しですよ今日は!? つか霊夢…それは喜んでいいのかどうか…(赤面) 「…じゃあ、今日はそろそろ帰るぜ」 「え? もう?」 「いつもなら『まだ夜はこれからだ』ってうるさいくらいなのに」 「あー、私がどう思われてるかについては今度じっくり聞かせてもらうことにして、今日は帰る。いい加減邪魔したくは無いからな」 「邪魔っt「あ、分かった。じゃあね」って霊夢!?」 「今夜はせっかくのクリスマスだし、二人きりの時間ぐらいあってもいいだろ?」 「あっ…う…(赤面)」 「もっとも…」 と、もう一度俺達二人を(くどいようだが霊夢は俺のひざの上だ)眺め回して、一言 「私がいてもいなくても気にしてなさそうだったが」 「うん」 「マテ」 「ははっ、じゃあなお二人さん。そうそう、あとで外に出てみるといいものが見れるかもしれないぜ」 「え?」 「またなー」 そういって魔理沙はとっとと外へ行ってしまった。 あとには俺と、ひざの上の霊夢が残るのみ… 「…結局ご飯食べに来ただけだったみたいね」 「ああ…あ、『ケーキご馳走様』って言うの忘れてた」 「それは今度でいいでしょ」 「まあな…で、霊夢、そろそr「や」いや、そういわれても…」 「…寒かったから」 「え?」 「ずっと寒かったから、○○がいない冬は」 「…」 「凍え死ぬかと思った。体でなく、心が。だから…」 「…ああ」 「今までの分…もう少しだけ、暖めてほしい」 「…了解、それくらいなら、いくらでも暖めてやるさ…」 「ん…」 静かな時間が流れる。 暖かな時間が流れる。 あれから結構たち、すっかり大人になった霊夢。 でも、その体は男の俺からすればやはり小さく、すっぽりと包み込むように抱きしめることも簡単だった。 ずっと、その小さな体で、待ち続けていてくれたんだな。…俺のことを。 「○○…?」 抱きしめる力を強くする。霊夢も俺に身を任せ、前に回した俺の腕を抱きしめる。 暫しの時。 腕の力をゆっくりと抜く。そして俺は、霊夢を伴って立ち上がった。 「外、行こうか」 「うん」 魔理沙に言われたとおり外に出てみる。そこはまさしく銀世界だった。 「うわぁ…」 思わず声を上げ、境内に出る霊夢。 俺もそのあとを追う 「ホワイトクリスマスか…なんかできすぎだな」 「これじゃ明日の雪かきが大変ね」 「目をつけるのはそこかよ…」 苦笑する俺。霊夢はにっこりと笑って俺と腕を組んだ。 「これから、末永く、…よろしくね、あなた」 「…ああ、よろしく」 深々と降り積もる雪。 その中で俺達は、静かに、唇を… 「「「「「「「「メリー、クリスマーーーーース!!!」」」」」」」」 パン!パパパン! 「「………」」 硬直する俺達。そこにいたのは… 「いやー、いいもの見せてもらったぜ」 白黒の魔法使い 「やっとゴールインか、おめでと、霊夢」 七色の人形遣い 「よっしゃー! 祝い酒だー!」 酔いどれ鬼娘 「ふふ、だから言ったろ? 最高のタイミングは逃さない。そういう運命だって」「おめでとう」 紅い悪魔にメイド長 「えーと、こういうときのお祝いに最適なのは…」「「おめでとうございまーす!!」」 七曜の魔女に小悪魔 s 「か、感動しました…」 門番 「おめでとうございます!」「うんうん、いい家庭を築きなさいよー」 庭師に月兎 「あー、クラッカーの音でシャッターチャンスを逃しちゃいました…あの、もう一回いいですか?」 デバガメ天狗 「ご馳走様ね、うふふふふ」「おめでとう」「おめでとー!」 スキマ妖怪に式神 s そのほかetcetc、いるわいるわ。 俺はこのあまりの状況の変化に固まってしまった。 「あ…あの…」 「ん、おい、どうやら肝心のは未遂らしいぞ」 「え、ひょっとして邪魔しちゃった!?」 「気にしない気にしない、何ならもう一回やりゃいいじゃん」 「あ、それ名案!」 「「「「「「「「「アンコール! アンコール!」」」」」」」」」 「って、できるかぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!!!!」 絶叫する俺、しかしこいつらが止まるはずも無く…って 「霊夢?」 突然霊夢に引っ張られ、そちらを向かされる。そして 「「「「「「「「「おおぉーーーーーー(カシャカシャカシャ)」」」」」」」」」 確かな感触。つか誰だ、撮ってるの 「あ、あの、霊夢?」 困惑する俺を見上げる霊夢の顔は、すっかり真っ赤だったが、天使のような顔だった。 思わず見とれてしまう俺。そんな俺を、霊夢は引っ張り、位置を変える。 ちょうど、みんなから見て俺が霊夢の影に入るような形で、霊夢はみんなの方を向いた。 「…これで満足?」 さっきまでの『やんや、やんや』という皆の歓声が、ぴたっ…と、止まる。 俺のほうからは見えない。が、霊夢がどんな表情をしているかは、皆の顔で想像がつく。 だってほら、あの吸血鬼やスキマ妖怪、さらには亡霊姫や蓬莱の面々にいたるまで、みんながみんな顔を青くし、汗を滝のように 流しているから。 「そう、なら…」 ああ、今の彼女は、きっと女神のような微笑を浮かべていることだろう。 ただし… 「死ね(ダーイ)」 司る物は、多分『滅び』だ。 「『夢想天生』×100」 こうして俺の、幻想郷に定住して初めてのクリスマスは、幕を下ろす。 壊れた境内の修理と掃除は、紅魔館と白玉楼とマヨヒガと永遠亭その他が全面負担することになったとだけ言っておこう。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------- 37です。 第3話の前にエピローグ後のエピソード、クリスマス変(←誤字にあらず)をお送りしました。 つかクリスマスに間に合わなかったorz 浮かんだの夜の10時ごろだしなぁ… 326